白金高輪の歯医者伊皿子おおね歯科医院。白金高輪駅、泉岳寺駅徒歩5分

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前歯が閉じない?――開咬(かいこう)の原因と治療法

「口を閉じても前歯が合わない」「食べ物を噛みにくい」「発音がしにくい」――こうした症状の背景にある可能性があるのが「開咬(かいこう)」です。見た目の問題にとどまらず、咀嚼・発音・呼吸・顎関節などさまざまな機能に影響を及ぼすことがあるため、早期の対応が求められる咬合異常のひとつです。
本コラムでは、開咬の基本的な理解から、原因、リスク、そして矯正歯科での治療法に至るまでをわかりやすく解説します。

第1章:開咬とは?

■ 定義

「開咬(open bite)」とは、上下の前歯が噛み合わず、前歯の間に隙間ができる咬合状態のことを指します。口を閉じた状態でも、前歯が接触せず、奥歯のみで咬んでいる状態が特徴です。

■ 分類

•前歯部開咬:もっとも一般的で、上下の前歯が開いている。
•側方開咬:左右の奥歯が接触せずに開いている。
•部分開咬:一部の歯のみが噛み合わない状態。

第2章:開咬の原因

■ 1. 習癖(くせ)

•指しゃぶりや**舌突出癖(舌で前歯を押すクセ)**が、長期間にわたって開咬を引き起こす主な要因です。
•口呼吸も開咬の形成に影響するとされ、慢性的な鼻づまりやアレルギーも関与します。

■ 2. 遺伝的要因

顎の骨格の大きさや形は遺伝するため、親子で同じような咬合異常が見られることもあります。**顎が垂直方向に長い骨格タイプ(過長顔型)**は開咬になりやすい傾向があります。

■ 3. 発育不全・歯の位置異常

•歯の位置や角度に異常がある場合、咬み合わせの異常を招くことがあります。
•乳歯の早期喪失や、永久歯の萌出障害が引き金になることも。

■ 4. その他の要因

•長期の哺乳瓶・おしゃぶりの使用
•頬杖などの習慣
•口腔周囲筋のバランス不全

第3章:開咬がもたらすリスク

■ 1. 咀嚼・咬合機能の低下

前歯が噛み合わないため、食べ物をうまく噛み切れない・噛み砕けないなどの機能障害が生じます。咀嚼不良は胃腸への負担増加にもつながります。

■ 2. 発音障害

「サ行」「タ行」など、舌先を前歯に当てて発音する音に支障をきたすことがあります。構音障害(発音が不明瞭になる症状)として、幼少期から現れることも。

■ 3. 顎関節症のリスク

奥歯にばかり負荷がかかることで、顎関節に負担が集中し、顎関節症の原因となることがあります。口が開けにくい、カクカク音がするなどの症状が現れる場合もあります。

■ 4. 見た目への影響

開咬は、口が開き気味になる、唇が閉じにくいといった審美的な問題も引き起こします。特に笑ったときの印象が大きく変わるため、本人のコンプレックスにつながることも。

第4章:開咬の治療法(矯正歯科のアプローチ)

■ 1. 観察と習癖除去(乳歯期〜混合歯列期)

小児期の開咬は、指しゃぶりや舌癖、口呼吸などの原因を取り除くことで自然に改善することもあります。矯正治療を始める前に、口腔筋機能療法(MFT)や生活習慣の見直しを行うのが第一段階です。

■ 2. 小児矯正(第一期治療)

永久歯が生えそろう前の段階(およそ6歳〜12歳)で、歯列と顎の成長をコントロールする矯正治療を行います。主な治療内容には以下のようなものがあります。

•舌癖の改善指導・MFT
•プレオルソなどの機能的矯正装置
•上下顎の成長バランスを促す装置(拡大床など)

開咬の原因が筋機能や骨格的なものである場合、早期の対応が予後を大きく左右します。

■ 3. 成人矯正(第二期治療)

永久歯が生えそろった後は、ブラケット矯正やマウスピース矯正を使って開咬を治療します。成人の開咬は骨格的要因が大きい場合もあり、治療の難易度が上がる傾向にあります。

•表側・裏側ブラケット装置
•インビザライン(マウスピース矯正)
•開咬専用のスプリント治療

※ 開咬は歯だけでなく**骨格の異常(上顎の後退、下顎の前突など)**が関与していることが多いため、重度の場合は外科矯正(顎骨の手術)を併用するケースもあります。

■ 4. リテーナーによる保定

治療後にはリテーナー(保定装置)による後戻り防止が重要です。特に開咬は再発しやすい不正咬合のひとつであるため、継続的な観察が不可欠です。

第5章:当院での開咬治療の特徴

当院では、開咬に対する専門的な診断と治療計画を行っております。

矯正歯科専門医(女医)による丁寧な診断と説明
•口腔習癖(指しゃぶり・舌癖など)の評価と改善指導
•必要に応じたMFT(口腔筋機能療法)の提案
•患者さまのライフスタイルに合わせた矯正方法の選択(目立たない装置・取り外し可能な装置など)

また、当院ではスマイルキッズプログラムを通じて、成長期の定期検診で歯列の発育や口腔筋機能のチェックを継続的に行っています。気になる「クセ」や「咬み合わせ」がある場合も早期発見・早期対応が可能です。

まとめ:開咬は治療できる。早期発見と正しい対処が鍵

開咬は「見た目」の問題にとどまらず、食べる・話す・呼吸するといった基本的な口腔機能に大きな影響を与える可能性がある不正咬合です。特に成長期のお子さまにとっては、習癖や生活習慣の見直しが早期改善のカギとなります。
お子さまの前歯が閉じない、舌がよく出る、食べにくそうにしている――そんなサインに気づいたら、お早めにご相談ください。当院では、歯並びの専門家がチームでサポートし、健やかな口腔環境の育成をお手伝いいたします。

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成長に影響する“クセ”?― 口腔習癖が歯並びに与える影響とその対策

お子さまの何気ない「クセ」、たとえば指しゃぶりや頬杖、舌を突き出すしぐさ――実はそれらは、成長発育中の口腔に悪影響を及ぼす可能性のある「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」と呼ばれるものかもしれません。
口腔習癖は、日常生活に潜んでいて見逃されがちですが、放置すると歯並びの乱れや咬合異常、さらには発音や呼吸にも悪影響を及ぼすことがあります。本コラムでは、口腔習癖の種類や原因、放置した場合のリスク、そして歯科医院での対応や家庭での予防方法までをわかりやすく解説します。

第1章:口腔習癖とは?

■定義と概要

「口腔習癖」とは、口の周囲や舌、あごの筋肉に関連する無意識のくせのことを指します。幼児期から学童期にかけて見られることが多く、発育途上の歯や顎に慢性的な外力が加わることで、歯列や咬合、さらには顔貌の成長にも影響を与える可能性があります。

第2章:代表的な口腔習癖の種類

●指しゃぶり(吸指癖)

もっとも一般的な習癖で、乳幼児期の自己安定行動の一つ。3歳を過ぎても続く場合は要注意。上顎前突(出っ歯)や開咬の原因となる。

●舌突出癖

嚥下や会話時、舌が前に突き出る癖。上下の前歯の間から舌が出てしまう状態で、開咬や発音障害の原因になる。

●口唇癖(唇を咬む・巻き込む)

上下どちらかの唇を咬んだり、内側に巻き込む癖。上下の前歯の傾斜や、噛み合わせのズレにつながることがある。

●頬杖

顔の片側に手を当てて支える姿勢。側方からの持続的な力が加わるため、顎の歪みや非対称を招く。

●口呼吸

鼻呼吸ではなく、常時口が開いた状態で呼吸を行う習慣。口腔乾燥・虫歯・歯肉炎・咬合異常・アデノイド顔貌など、多くの問題を引き起こす。

●爪咬み・鉛筆咬み

緊張や不安を紛らわせる行動の一環として見られる。前歯への過剰な圧力がかかり、破折や傾斜、歯並びへの悪影響が起こる。

第3章:放置することによるリスク

●歯列・咬合への影響

口腔習癖は歯の位置・角度・顎の成長にまで影響を与え、以下のような不正咬合の原因になります:
•開咬(かいこう):上下の前歯が閉じない状態
•上顎前突(出っ歯)
•反対咬合(受け口)
•顎の左右非対称
•歯列のねじれや叢生(歯の重なり)

●顎関節や顔貌のゆがみ

持続的な外力が顎関節に影響し、顔面の左右非対称や顎関節症のリスクを高めます。

●呼吸・発音障害

舌の位置異常や口呼吸の習慣が、鼻づまり・アレルギー性疾患・滑舌の悪さを引き起こすことがあります。

第4章:家庭でできる気付きと対策

●よくあるサイン

•いつも口が開いている
•舌が前に出ている
•頬杖をよくつく
•前歯が閉じない(前歯が上下に離れている)
•唇や指に歯の跡がついている
•発音がはっきりしない

● 家庭でできる対応

•3歳以降も指しゃぶりがある場合は段階的にやめさせる努力を
•就寝時の手袋や絵本による行動変容を活用
•日中の姿勢指導(頬杖を避ける)
•正しい口唇閉鎖・鼻呼吸を意識させる
•食事中の咀嚼や飲み込み方を見直す(舌突出がある場合)

第5章:歯科医院での専門的アプローチ

●咬合診断・口腔筋機能評価

歯並びや咬み合わせ、口腔周囲筋の機能を総合的に診断し、習癖がもたらす影響を評価します。

●MFT(口腔筋機能療法)

舌・口唇・頬の筋肉のバランスを整える訓練療法で、異常嚥下や舌癖の改善に効果的です。継続的なトレーニングが必要となる場合もあります。

●矯正治療

口腔習癖が原因で生じた歯列不正については、小児矯正での早期対応が推奨されます。特に発育段階での骨格改善は、成人後よりも治療の選択肢が広がります。

第6章:当院での取り組み ― 習癖と成長を見守る体制

当院では、「スマイルキッズプログラム」を通じて、乳幼児期から学童期に至るまでのお子さまの歯と口の健康を継続的にサポートしています。
•定期検診時に歯並びや口腔筋機能のチェック
•保護者への習癖に関するフィードバック
•必要に応じた専門的指導・トレーニング提案
•食事・姿勢・呼吸指導を含む総合的なアプローチ
また、矯正専門医(女医)が常勤しており、歯並びの問題だけでなく口腔習癖への対応も専門的にご相談いただけます。お子さまの気になるクセがある、歯並びが心配、口がぽかんと開いているなど、お困りの際はお気軽にご相談ください。

まとめ:早期の気付きが将来の健康につながる

口腔習癖は、単なる「クセ」ではありません。成長発育期における歯や顎、さらには全身の健康にまで関わる重要な因子です。
「まだ小さいから」と見過ごさず、日常の中で違和感を感じたら、ぜひ一度歯科医院にご相談ください。正しい知識と適切な対応で、将来のお子さまの口腔環境を守ることができます。

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舌の動きが制限される?――舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)とは

赤ちゃんの授乳がうまくいかない、お子さまの発音がはっきりしない、大きくなっても舌を前に出せない――これらの症状の背景にあるかもしれないのが、「舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)」という状態です。
近年では歯科・耳鼻咽喉科・小児科など多方面から注目されており、必要な対応を見極めることが重要になっています。

舌小帯とは何か

舌小帯(ぜつしょうたい)とは、舌の裏側で、舌と口の底をつなぐ薄いスジのような組織です。舌の動きを支える役割がありますが、このスジが「短すぎる」「太すぎる」「先端近くに付着している」と、舌の動きが制限されてしまいます。これが「舌小帯短縮症」です。

舌小帯短縮症の主な症状とサイン

症状は年齢によって異なりますが、以下のような点が気になる場合は注意が必要です。

■ 新生児〜乳児

•授乳時にうまく吸えない・すぐに疲れてしまう
•母乳育児がうまくいかず、体重が増えにくい
•母親が乳頭の痛みを感じやすい

■ 幼児〜学童期

•舌を前に出すとハート型になる(舌先がくびれる)
•舌を上あごにしっかりつけられない
•発音が不明瞭(「ラ行」「タ行」「サ行」など)
•食べ物を舌で押しつぶせず、丸のみしてしまう
•唾液が口にたまりやすく、口が開きがちになる

■ 成人

•発音のクセが抜けない
•舌の動きが制限されて疲れやすい
•舌圧(ぜつあつ)が低く、口腔機能が全体的に弱い

舌小帯短縮症がもたらすリスク

● 授乳障害・哺乳不良

新生児期では、舌の動きが制限されることで母乳をうまく飲めない場合があり、母子ともにストレスになります。

● 発音障害(構音障害)

舌の位置が適切に取れないため、「ラ行」や「サ行」などの発音に支障が出ることがあります。学校での会話や音読にも影響が出ることがあり、言語発達に関わる問題として見過ごせません。

● 口呼吸・開口癖・歯列不正

舌が上あごにつかないため、舌の位置が低くなり、口呼吸や開口癖(常に口が開いている状態)を引き起こします。これは歯並びの異常や顎の発育不良につながる可能性もあります。

● 嚥下や咀嚼の障害

食事時に舌の動きが悪いと、食べ物をうまく口内で操作できず、噛みにくい・飲み込みにくいといった症状を招きます。

舌小帯短縮症の見分け方

家庭でも簡単に確認できるチェック方法として、以下のような方法があります。

•舌を前に出したときに「ハート型」に見える
•舌が下前歯を超えて出ない
•「べー」と舌を出しても真っすぐに伸びず、動きが小さい
•上あごにつけようとしても届かない

ただし、見た目だけで判断するのは難しく、舌の可動域や筋力、口腔内全体の機能を総合的に評価する必要があります。

歯科医院での対応

当院では、舌小帯短縮症の診断・観察・治療を段階的に行っております。

1. 検査・診断

•舌小帯の長さ・位置・可動域の測定
•発音や食事、生活上の影響の有無をヒアリング
•必要に応じて言語聴覚士や小児科との連携

2. 経過観察とMFT(口腔筋機能療法)

軽度であれば、筋機能訓練(MFT)によって舌の使い方を改善することで対応できる場合もあります。成長とともに舌小帯の影響が軽減されることもあるため、経過観察が第一選択となることもあります。

3. 手術的処置(舌小帯切除術)

明らかに発音・嚥下・歯列に悪影響がある場合は、局所麻酔下での舌小帯切除術(フレノトミー/フレノプラスティー)を行います。

•レーザーまたは電気メスにより安全に処置
•手術時間は10〜20分ほど、縫合の必要があることも
•術後はMFTなどで再癒着防止と機能改善を行うことが重要

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 赤ちゃんでも手術は必要ですか?

A. 基本的には哺乳に大きな支障があり、体重が増えないなどのケースに限って、早期に処置を検討します。見た目だけでの手術は推奨されません。

Q2. 手術後はすぐに発音が良くなりますか?

A. 多くの場合、手術後の訓練(MFT)との併用が効果的です。舌の使い方のクセは習慣的なものであるため、再学習が重要です。

Q3. 大人でも手術できますか?

A. はい、可能です。発音や舌の疲れ、口腔機能の改善を希望される場合は、年齢に関わらずご相談いただけます。

当院での取り組み

当院では、舌小帯短縮症に関する正確な診断と、患者さまに合った治療計画の提案を行っております。また、必要に応じて口腔筋機能療法(MFT)指導や矯正歯科、言語発達に関するご相談にも対応可能です。
さらに、定期検診プログラム「スマイルキッズプログラム」の中でも、舌の動きや筋力、姿勢、習癖などをチェックし、早期発見・予防的な指導を実施しています。

まとめ:舌小帯短縮症は早めの気づきと正しい対処が大切

舌小帯短縮症は、軽度なものであれば問題がないことも多い一方で、授乳・発音・歯並び・口腔機能のトラブルにつながるケースもあります。まずは、舌の動きや発音、生活上の困りごとに気づいた段階で専門的な診察を受けることが大切です。
「舌の動きが気になる」「話し方が少し気になる」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。当院では、成長に寄り添った丁寧な対応を心がけ、お子さまの健やかな発育をサポートいたします。

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上唇小帯異常とは?― 赤ちゃんの歯並びや発音に影響する小さな筋の異常にご注意を

赤ちゃんや小さなお子さまの口元を観察すると、上唇の内側に筋のような突起が見えることがあります。これは「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」と呼ばれ、唇と上あごの歯ぐきをつなぐ筋状の組織です。
この上唇小帯に異常があると、前歯のすき間(正中離開)や、発音障害、口腔清掃の困難など、さまざまな問題が生じることがあります。本コラムでは、上唇小帯異常の特徴や見分け方、治療の必要性、歯科医院での対応について詳しく解説いたします。

上唇小帯とは?

上唇小帯は、上唇と歯ぐきをつなぐ細い筋状の組織です。乳幼児期には比較的太く目立つことが多く、成長とともに自然に後退・薄くなっていくことが一般的です。
しかし、この小帯が太すぎたり、歯の間にまで入り込んでいたりする場合、歯並びや発音、日常の口腔ケアに悪影響を及ぼす「上唇小帯異常」と診断されることがあります。

上唇小帯異常の主な症状・サイン

以下のような症状が見られる場合は、上唇小帯異常の可能性があります:

•上の前歯にすき間がある(正中離開)
•上唇を大きく持ち上げると、歯ぐきに食い込むような筋が見える
•歯磨きの際に上唇を動かすと痛がる
•哺乳や咀嚼のしにくさを訴える(乳児期)
•サ行・タ行などの発音が不明瞭(幼児〜学童期)

ただし、見た目に異常があっても必ずしもすぐに治療が必要なわけではなく、成長とともに改善するケースもあるため、歯科医師による診断が大切です。

上唇小帯異常が引き起こすリスク

● 正中離開(上の前歯のすき間)
もっとも多いのが永久歯が生えそろっても前歯にすき間が残るケースです。上唇小帯が歯の間まで入り込んでいることで、前歯の萌出や移動を妨げてしまいます。
● 歯列不正の原因に
すき間だけでなく、前歯の位置異常や回転、唇と歯のバランス不良を引き起こすことがあります。
● 発音・会話の障害
上唇の動きが制限されると、発音時の唇の使い方に影響が出てしまい、サ行・パ行・マ行などの音が不明瞭になることがあります。
● 歯みがきの痛み・抵抗
唇を持ち上げたときに小帯が引っ張られ痛みを感じることで、仕上げ磨きを嫌がる原因になることもあります。

治療は必要?自然に治る?

すべての上唇小帯の目立ちが「異常」ではなく、以下のようなケースでは経過観察で問題ないことも多いです:

•乳歯の間にすき間があるだけで、永久歯がまだ生えていない
•発音や咀嚼に特に問題がない
•上唇の可動域が十分にあり、表情や日常生活に支障がない

しかし、永久歯が生えそろっても正中離開が閉じない場合や、矯正治療に影響があると診断された場合には、外科的処置(小帯切除)が必要になることもあります。

歯科医院での対応と治療の流れ

● 1. 診査・診断
•小帯の太さ、付着位置、動きや伸びなどを診察
•歯列や発音、清掃状態への影響を確認
•必要に応じてレントゲンや口腔内写真を撮影

● 2. 経過観察(初期)
•乳歯列期〜混合歯列期では、経過観察と日常生活での注意が基本
•フロスや歯磨き時の痛みがあれば丁寧なケア指導を実施

● 3. 小帯切除(必要時)
•正中離開の閉鎖を妨げる場合や矯正治療の妨げとなる場合に実施
•局所麻酔下での簡単な外科手術(レーザーまたはメス)
•通常は10〜15分程度の短時間で完了し、術後の腫れや痛みも少ない
※タイミングは永久歯が生えそろう前後、または矯正治療開始前後が適切とされます。

当院での取り組みとサポート

当院では、お子さまの成長段階に応じた上唇小帯の診査と評価を行っています。特に定期検診において、歯並びや小帯の状態を一緒に確認することで、見逃しを防ぎ、将来的なトラブルの予防に努めています。
また、当院では以下の体制を整えております:

•小児歯科・矯正歯科の両面からの包括的なチェック
•必要に応じた矯正専門医(女医)による相談・治療計画のご提案
•上唇小帯切除が必要と判断された場合のスムーズな対応

さらに、スマイルキッズプログラムを通じて、年齢ごとの口腔成長の見守りと、習癖・筋機能の評価を継続的に行っています。

保護者の方へのメッセージ

「上の前歯にすき間がある」「唇が引っ張られると痛がる」といったサインがあれば、上唇小帯異常の可能性があります。しかし、過度に心配せず、まずは歯科医院で適切な評価を受けることが大切です。
成長の過程で自然に改善されるケースもありますが、必要なタイミングで適切な処置を行うことで、将来的な歯並びや発音のトラブルを未然に防ぐことができます。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。お子さまの健やかな口元の発育を、一緒にサポートしてまいります。

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歯磨き+舌ケア+鼻うがいで整える“3点セルフケア” ― 花粉・ウイルス時代の新・口腔ケア習慣

【はじめに】

花粉症・インフルエンザ・新型コロナウイルス――こうした空気感染・飛沫感染が問題となる現代において、個人のセルフケアがこれまで以上に重要視されています。特に、口や鼻といった「外界とつながる粘膜領域」を清潔に保つことは、感染予防の第一歩です。
従来の“歯磨き中心”の口腔ケアに加えて、舌ケアと鼻うがいを組み合わせた「3点セルフケア」が注目されています。本コラムでは、それぞれの役割と相乗効果を解説し、花粉・ウイルス時代に適応した新しい口腔ケア習慣をご提案します。

【1. なぜ今「3点セルフケア」が必要なのか】

新型コロナウイルスの流行を契機に、マスク生活・手指消毒が一般化しました。しかし、口腔内の清掃や鼻腔のケアは後回しにされがちです。実際には、口や鼻はウイルス・細菌・アレルゲンの侵入口であり、ここを清潔に保つことで感染リスクを下げることができます。
加えて、花粉やPM2.5の飛散が増える季節には、鼻粘膜や喉の炎症、口呼吸による乾燥などが生じ、歯周病・虫歯・口臭などのトラブルにもつながります。
このような背景から、口と鼻の“ダブルケア”+口腔内の“深部ケア”として、「歯磨き」「舌ケア」「鼻うがい」を組み合わせる3点セットが理想的なのです。

【2. 歯磨き ― 口腔ケアの基本】

言うまでもなく、歯磨きは口腔ケアの土台です。歯垢(プラーク)は細菌の塊であり、磨き残しがあると虫歯や歯周病、さらには誤嚥性肺炎の原因になります。
特に朝と就寝前の歯磨きは欠かせません。寝ている間は唾液の分泌が減るため、細菌が繁殖しやすくなる“ゴールデンタイム”だからです。

●チェックポイント

・1日2回以上、丁寧にブラッシング
・フロスや歯間ブラシで歯と歯の間も清掃
・電動歯ブラシを活用するのも効果的

【3. 舌ケア ― 見逃されがちな“舌苔”の除去】

口臭の大きな原因のひとつが「舌苔(ぜったい)」と呼ばれる白っぽい汚れです。これは食べカス・剥がれた粘膜・細菌などが舌の表面に蓄積したものです。
舌苔が増えると、悪臭の原因になるだけでなく、細菌が飲み込まれて消化器や呼吸器に影響を及ぼすこともあります。

●舌ケアの方法

・朝一番に行うのが効果的
・舌専用ブラシやヘラで、奥から手前へやさしくこする
・強くこすりすぎないこと(粘膜を傷つける恐れあり)
特に高齢者や口呼吸が多い方、唾液が少ない方は舌が乾燥しやすく、舌苔がつきやすいため注意が必要です。

【4. 鼻うがい ― 呼吸器と口腔を守る新習慣】

「鼻うがい」は、生理食塩水で鼻腔内を洗い流す方法で、耳鼻科ではアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療にも用いられています。
花粉やウイルス、PM2.5などが付着しやすい上咽頭(鼻の奥)を直接洗浄できるため、呼吸器感染や炎症の予防に高い効果があります。
また、鼻呼吸がしやすくなることで、口呼吸による口腔内の乾燥や細菌増殖も防ぐことができます。

●鼻うがいのポイント

・専用のボトルや洗浄器を使用
・濃度0.9%のぬるま湯で痛みなし
・片鼻から注水し、反対側または口から排出
・1日1回〜花粉の多い日だけでもOK

【5. 3つを組み合わせることで得られる効果】

それぞれ単独でも効果のあるケアですが、3つを組み合わせることで以下のような相乗効果が得られます。

•口腔内と鼻腔の細菌・ウイルスの総量が減少し、誤嚥性肺炎・感染症の予防
•鼻呼吸が確保されることで口呼吸によるトラブル(口臭・虫歯・歯周病)を軽減
•舌の清潔が保たれ、味覚や嚥下機能の改善にもつながる
•花粉症や鼻炎の症状を軽減し、QOLの向上

歯磨き、舌ケア、鼻うがいの3点は、それぞれ違う領域をカバーしつつ、互いに補完し合う最適なバランスを持つのです。

【6. 歯科医院でのアドバイスとサポート】

当院では、定期検診やクリーニング時に、舌ケアや鼻うがいの方法も含めたトータルセルフケアの指導を行っています。
特に以下のような方には「3点セルフケア」の導入を強くおすすめしています。

・口臭が気になる方
・花粉症や鼻炎で口呼吸が多い方
・誤嚥性肺炎を予防したい高齢の方
・口腔乾燥や舌苔が多くついている方

必要に応じて、耳鼻科との連携や市販製品の紹介も行っております。セルフケアの習慣化は、一人ひとりのライフスタイルに合わせた継続しやすさが鍵です。

【まとめ】

“歯を磨く”だけでは守りきれない時代がやってきました。ウイルス・花粉・アレルゲンが飛び交う現代において、口腔と鼻のトータルケアこそが、健康を守る最前線となります。
これからの口腔ケアは「歯磨き・舌ケア・鼻うがい」の3点セットがスタンダード。
毎日のちょっとしたケアが、未来の大きな病気を防ぐ第一歩になります。
気になる症状がある方やセルフケアに不安のある方は、ぜひ当院までご相談ください。患者さま一人ひとりに合ったケアのアドバイスをご提供いたします。

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子どもの睡眠時無呼吸と歯並びの関係 ― 歯科が果たせる早期介入の役割

はじめに

子どもにも睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea: SAS)があることは、意外に知られていません。 特にアデノイドや扁桃肥大が原因となることが多く、歯科領域との関連も深いのが特徴です。 このコラムでは、小児の睡眠障害と歯並びの関係に焦点を当て、歯科医院でできる早期介入の重要性について解説します。

小児の睡眠時無呼吸とは

小児SASは、睡眠中に気道が閉塞して呼吸が止まる、あるいは著しく低下する状態を繰り返す疾患です。 主な原因はアデノイド(咽頭扁桃)や口蓋扁桃の肥大ですが、顎の成長不足や舌の位置異常、肥満、口呼吸の習慣なども影響します。

見逃されやすい小児SASのサイン

夜間のいびき、呼吸の中断、頻繁な寝返り、日中の眠気、集中力の低下、落ち着きのなさなどが挙げられます。 特に注意したいのは、学習障害や多動傾向の裏に睡眠障害が潜んでいるケースです。

歯並びや顎の発育との関係

小児SASを抱える子どもは、口呼吸や舌の位置異常により、上顎の横幅が狭くなりやすく、開咬や上顎前突、反対咬合などの不正咬合が生じやすくなります。 また、慢性的な口呼吸により、顔貌の成長にも影響が出ることがあります(アデノイド顔貌など)。

歯科でできる早期介入

歯科医院では、口腔内の観察から小児SASの兆候に気づくことができます。 舌の位置、口唇閉鎖、口呼吸の有無、顎の幅、歯列のアーチ形状などから、成長の偏りを早期に察知できます。
必要に応じて耳鼻咽喉科や小児科と連携しながら、口腔筋機能療法(MFT)や拡大床などによる早期矯正を提案することもあります。

小児矯正による気道確保の効果

顎の成長をコントロールする小児矯正は、見た目の歯並びだけでなく、気道を広げる効果も期待されます。 特に上顎の横幅を広げることで、鼻腔や咽頭部のスペースが確保され、呼吸がしやすくなることがあります。

家庭でできるセルフチェックと対策

お子さまの睡眠中に以下の点をチェックしてみてください:

– いびきをかいていないか
– 口を開けたまま寝ていないか
– 寝相が極端に悪くないか
– 日中、集中力が続かない様子がないか

これらに当てはまる場合は、歯科医院への相談をおすすめします。

まとめ

子どもの睡眠は、成長や学習、情緒の安定にとって極めて重要です。 歯科では、単に歯を整えるだけでなく、お子さまの全身的な健康を支える役割も担っています。 小さなサインに早く気づくことで、将来的な心身のトラブルを予防できる可能性があります。 気になる症状があれば、ぜひ早めに歯科医院へご相談ください。

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口腔ケアと一緒に“鼻うがい”も ― 高齢者の誤嚥予防と感染対策

【はじめに】

高齢化が進む日本では、誤嚥性肺炎やインフルエンザ、新型コロナウイルスなど、呼吸器感染症による入院・死亡が深刻な問題となっています。これらの疾患には、「口や鼻の衛生状態」が深く関係していることが分かっています。
口腔ケアの重要性は徐々に広まっていますが、鼻のケア=鼻うがいに関しては、まだ一般的とは言えません。
しかし近年、鼻うがいは呼吸器感染予防や口腔疾患予防にも有効なセルフケアとして、医療現場で注目されています。
このコラムでは、鼻うがいが高齢者の健康にどのようなメリットをもたらすのか、また歯科の視点から見た活用方法について詳しくご紹介します。

【高齢者における誤嚥のリスクとは】

加齢とともに、咀嚼や嚥下などの機能は徐々に衰えていきます。舌や口周囲の筋力低下により、食べ物や唾液が気道へ誤って入り込む=誤嚥が起こりやすくなります。
誤嚥が続くと、気道に入った細菌が肺に達し、「誤嚥性肺炎」を引き起こします。実際に肺炎による死亡者の多くが高齢者であり、その多くが誤嚥と関係しています。
さらに、口腔内には数百種類もの細菌が存在し、歯垢や舌苔を介して容易に増殖します。これらの細菌が誤嚥によって気道に入り込むことで、感染のリスクが高まります。

【鼻うがいが果たす役割】

鼻うがいとは、塩分を含んだぬるま湯で鼻腔内を洗い流すセルフケアです。鼻の奥には、ウイルスや細菌、アレルゲン、ほこりなどが溜まりやすく、感染の入り口となりがちです。
鼻うがいを行うことで、以下のような効果が期待されます。
•ウイルスや細菌の物理的除去による感染症予防
•鼻づまりの改善による口呼吸の防止
•上咽頭部の清浄化による免疫機能の安定
特に口呼吸は、口腔内を乾燥させ、細菌の増殖や虫歯・歯周病のリスクを高めるため、鼻呼吸の確保は非常に重要です。

【鼻うがいと口腔ケアの相乗効果】

口腔ケアで口内の細菌を減らし、鼻うがいで鼻腔に潜むウイルスや異物を洗い流すことで、感染のリスクを二重に抑えることができます。
さらに、鼻呼吸が安定すれば舌の位置が正しく保たれ、嚥下機能が改善されやすくなります。
これは、誤嚥性肺炎や口腔機能低下症の予防にもつながります。
つまり、口と鼻をセットでケアすることが、全身の健康維持につながるのです。

【具体的な鼻うがいの方法】

市販の専用ボトルや洗浄器を使用することで、誰でも安全に鼻うがいが行えます。以下は基本的な手順です。

1.約0.9%の塩分濃度(生理食塩水)を約36〜37度のぬるま湯で準備
2.専用ボトルに液を入れる
3.洗面台の前で口で息をしながら、片方の鼻からゆっくり注水
4.反対側の鼻または口から流れ出すよう姿勢を調整
5.左右を交互に行い、最後に軽く鼻をかむ

ポイントは、ゆっくり・優しく・無理をせず。
高齢者には付き添いや初回指導があると安心です。

【歯科医院での取り組み】

当院では、口腔ケアの一環として「鼻うがい」の導入も推奨しています。
特に以下のような方には、鼻うがいの実施を勧めています。
•過去に誤嚥性肺炎を経験した方
•季節ごとに風邪やインフルエンザにかかりやすい方
•鼻呼吸がうまくできない方(鼻炎・副鼻腔炎の方など)
歯科の定期検診では、お口の中だけでなく呼吸の状態や習癖も確認します。必要があれば、耳鼻科との連携を取りながら、より包括的な予防策をご提案いたします。

【よくある質問 Q&A】

Q:鼻うがいって痛くないですか?

A:正しい濃度の塩水を使えばほとんど痛くありません。水道水や真水は鼻がツンとするので避けてください。

Q:毎日やらないといけませんか?

A:毎日が理想ですが、花粉や風邪が気になる季節だけでも効果があります。無理せず続けることが大切です。

Q:耳に水が入りそうで怖いのですが?

A:正しい方法でゆっくり行えば問題ありません。不安な方は医師や歯科医に相談しましょう。

【まとめ】

誤嚥性肺炎や風邪など、呼吸器の感染症は高齢者の生活の質を大きく左右します。
口腔ケアと同時に、鼻うがいという新しいセルフケアを取り入れることで、感染リスクを大きく減らすことができます。
これからの時代、「歯を磨く・舌をきれいにする・鼻を洗う」という3つの習慣が、高齢者の健康を支える基本となるかもしれません。
当院では、患者さま一人ひとりに合わせた口腔・呼吸ケアをサポートしています。お気軽にご相談ください。

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白金高輪の小児歯科が教える:赤ちゃんから就学までに気をつけたい歯と口の健康ガイド

はじめに

白金高輪で小児歯科をお探しの方へ。赤ちゃんの頃からの口腔ケアは、健康な永久歯や正しい歯並びの土台となります。本コラムでは、0歳から小学校入学までのお子さまの口腔発育と歯の健康について、年齢ごとの注意点を中心にご紹介します。

0歳:歯が生える前からスタートするお口の健康づくり

まだ歯が生えていない赤ちゃんでも、ガーゼや清潔な指を使って口の中を優しく拭いてあげることで、菌の繁殖を防ぎます。また、授乳後のケアや口呼吸の予防も重要です。

1〜2歳:乳歯の萌出と食生活のスタート

この時期には前歯から奥歯へと順番に乳歯が生えはじめます。甘い飲み物や間食の頻度には注意が必要で、虫歯予防のためにフッ素塗布も検討しましょう。歯磨きは親御さんが仕上げ磨きを行い、歯ブラシに慣れさせることが大切です。

3〜4歳:乳歯列の完成と口腔習癖のチェック

指しゃぶり、口呼吸、舌突出癖などの習癖が歯並びに影響する時期です。伊皿子おおね歯科医院では、こうした口腔習癖を早期に発見し、必要に応じてトレーニングを行います。

5〜6歳:永久歯への準備期間

第一大臼歯(6歳臼歯)の萌出が始まる大切な時期です。乳歯の虫歯は永久歯にも悪影響を与えるため、日々のケアと定期的な検診が欠かせません。お子さまの自立心が芽生える時期でもあるため、歯磨き指導を丁寧に行うことが求められます。

小児歯科でできること

伊皿子おおね歯科医院では、お子さまの年齢や発達段階に応じた歯科検診、フッ素塗布、口腔機能トレーニングなどを行っています。「虫歯ゼロ」だけでなく、「噛む・話す・飲み込む」といった機能面の健全な発達も支援しています。

保護者の皆さまへ:家庭でできる口腔ケアのポイント

・仕上げ磨きは小学校低学年までを目安に続けましょう
・水やお茶で口をゆすぐ習慣をつけましょう
・間食の時間と内容を見直しましょう
・口呼吸ではなく鼻呼吸ができているか観察しましょう
これらはご家庭でもすぐに実践できる習慣です。

当院の特徴:スマイルキッズプログラムと矯正専門医による安心の体制

伊皿子おおね歯科医院では、乳幼児からのお口の健康づくりをサポートするために「スマイルキッズプログラム」を導入しています。このプログラムでは、お子さまの成長に応じて、定期検診ごとに歯並びのチェックや口腔衛生指導を行い、虫歯の予防はもちろん、将来的な不正咬合の早期発見にもつながります。

また、当院には女性の矯正歯科専門医が在籍しており、お子さまや保護者の方が安心してご相談いただける環境を整えています。成長期に合わせた最適なタイミングでの矯正治療をご提案できることも、当院の大きな強みです。

まとめ

乳幼児期からの正しい口腔ケアは、将来のお口の健康だけでなく、全身の発育や学習能力にも良い影響を与えます。白金高輪エリアで信頼できる小児歯科をお探しの方は、ぜひ当院へご相談ください。お子さま一人ひとりに合ったケアとサポートをご提供いたします。

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「乳歯が抜けない…?」そのまま放置していませんか? ― 乳歯晩期残存のリスクと歯科的対応

「もう中学生になるのに、まだ乳歯が残っている」
「下の永久歯が生えてきているのに、乳歯が抜ける気配がない」
そんなご相談を歯科医院では少なからず受けます。このような状態は「乳歯晩期残存(にゅうしばんきざんぞん)」と呼ばれ、子どもの歯の発育において注意すべき現象のひとつです。
永久歯の萌出時期には個人差がありますが、予定の時期を大きく過ぎても乳歯が残存している場合には、歯列不正・噛み合わせ異常・永久歯の異常萌出など、将来の口腔環境に大きな影響を及ぼすことがあります。
本コラムでは、乳歯晩期残存の原因やリスク、歯科医院での対応、そして保護者が日常生活の中で気付くべきサインまで、詳しくご紹介します。

第1章:乳歯晩期残存とは?

■ 1-1. 乳歯の通常の生え替わりとは

乳歯は全部で20本あり、生後6ヶ月頃から生え始め、3歳頃までに生えそろいます。これらは6〜12歳頃にかけて順次抜け、永久歯へと生え替わります。永久歯は親知らずを除き28本あり、歯の生え替わりは以下のような流れで進行します。

永久歯の種類 萌出時期の目安
第一大臼歯(6歳臼歯) 6歳ごろ
中切歯(前歯) 6〜7歳
側切歯 7〜8歳
犬歯・第一小臼歯 9〜11歳
第二小臼歯 10〜12歳
第二大臼歯 12歳前後

■ 1-2. 晩期残存とは?

この生え替わりの時期を大幅に過ぎても乳歯が抜けずに残っている状態を、「乳歯晩期残存」といいます。具体的には、12歳以降になっても乳歯が口腔内に残っている場合、歯科的には晩期残存の疑いとして精査対象となります。
必ずしも病的とは限りませんが、**永久歯が正常に生えてこられない「萌出異常」や「埋伏(まいふく)」**の原因となることがあるため、注意が必要です。

第2章:乳歯晩期残存の原因

乳歯が長く残る背景には、以下のようなさまざまな原因があります。

■ 2-1. 永久歯の欠如(先天性欠如)

もっとも多い原因がこれです。永久歯の「種」がもともと存在しない場合、当然ながら生え替わる相手がいないため、乳歯が抜けずに長く残ります。日本人では第二小臼歯・側切歯に先天欠如が多く見られます。
近年では10人に1人以上の割合で、1本以上の先天性欠如が報告されています(厚労省調査より)。

■ 2-2. 永久歯の萌出異常・方向異常

永久歯が本来の位置に向かって正しく萌出してこない場合、乳歯が刺激を受けず、自然に抜けるきっかけを失ってしまいます。特に犬歯や小臼歯は、斜め方向や歯列外から生えることも多く、注意が必要です。

■ 2-3. 歯列のスペース不足

顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りない場合、永久歯が萌出できず、乳歯がそのまま残ってしまうことがあります。

■ 2-4. 歯根吸収の遅れ

通常、乳歯の根は永久歯の圧力によって徐々に吸収され、やがて抜け落ちます。しかし、永久歯の位置や向きの問題でその刺激が弱いと、乳歯の根が吸収されずに長く残ることがあります。

■ 2-5. その他の要因

•早期の乳歯喪失 → 萌出誘導の失敗
•過剰歯 → 永久歯の通り道を塞ぐ
•嚢胞・腫瘍 → 萌出障害の原因となる

第3章:晩期残存が引き起こすリスク

■ 3-1. 歯列不正・咬合異常

乳歯が長く残っていると、永久歯が正しい位置に並ぶことができず、歯列不正(叢生・八重歯・交叉咬合など)や咬み合わせのズレを招くことがあります。

■ 3-2. 萌出困難・埋伏歯

永久歯が骨の中に埋まったまま出てこない「埋伏歯」になることもあります。とくに上顎犬歯の埋伏は多く、外科的介入や矯正治療が必要となるケースがあります。

■ 3-3. 永久歯の位置異常

乳歯が抜けずに放置されていると、永久歯が**異常な位置(歯列外・口蓋側など)**に萌出し、見た目・機能ともに悪影響を及ぼします。

■ 3-4. 咀嚼・発音機能の低下

歯列の乱れは、噛み合わせの不安定さにつながり、食事の咀嚼効率や発音明瞭度に影響を与えることがあります。

第4章:家庭で気付けるサインとは?

乳歯晩期残存は、早期に気付いて歯科で対応すれば、リスクを最小限に抑えられます。以下のようなサインを見逃さないことが重要です。

■ 保護者がチェックすべきポイント

•同じ学年の友達に比べて、歯の生え替わりが遅い
•12歳を過ぎても乳歯が残っている
•歯が二重に生えている(乳歯と永久歯が同時にある)
•前歯や犬歯がなかなか生えてこない
•歯並びが乱れてきた
•食べ物を片側で噛む・噛みにくそうにしている

■ 乳歯と永久歯の見分け方

乳歯はやや白く小ぶりで、形も丸みを帯びています。一方、永久歯は灰白色でしっかりした形状です。位置や歯種にもよりますが、不安な場合は早めに歯科でレントゲン検査を受けることをおすすめします。

第5章:歯科医院での対応

■ 5-1. 精密検査(パノラマ・CT)

まずはレントゲン撮影によって、永久歯の有無、位置、方向を確認します。特に先天欠如・埋伏歯・過剰歯の有無を診断することが重要です。

■ 5-2. 残存乳歯の抜歯

永久歯が存在し、適切な位置にある場合は、残っている乳歯を抜歯することで、自然な萌出を促します。

■ 5-3. 萌出誘導(牽引処置)

永久歯が埋伏している場合、外科的に露出させ、矯正装置で引っ張り出す処置が行われることもあります。これは矯正歯科医との連携が必要です。

■ 5-4. 永久歯が存在しない場合の対応

永久歯の欠如が判明した場合、残存乳歯を長期維持するか、矯正・補綴(インプラント・ブリッジ)を視野に入れて歯列全体を計画的に整えることが検討されます。

第6章:予防と定期検診の重要性

■ 乳歯が抜けない=問題、ではありません

成長のペースには個人差があります。しかし、「永久歯があるのかどうか」「生える準備ができているのか」はレントゲンでしか判断できません。

■ 定期検診を通じての早期発見

6歳臼歯が生えるころから、年2〜3回の定期検診を受けることで、萌出異常を早期に発見し、適切なタイミングで介入することが可能です。

まとめ:乳歯の「居残り」は、将来の歯並びの警告信号かもしれません

乳歯晩期残存は、見た目ではわかりにくい場合もありますが、歯列全体のバランスや咬合発育に大きな影響を及ぼすことがある重要なサインです。永久歯の生え替わりは「自然に任せればいい」と思われがちですが、時に歯科的な介入が必要になることもあります。
「乳歯がなかなか抜けない」「生え替わりが遅れているかも」と気になったら、どうかお気軽にご相談ください。当院では、成長発育に応じた適切な診断と対応を行い、お子さまの健やかな口腔発達を全力でサポートいたします。

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閉塞性睡眠時無呼吸と歯科治療 ― 静かな“いびき”の影に潜む健康リスクとその対策

「いびきがうるさい」「夜中に息が止まっている」と家族に言われたことはありませんか?それは、単なるいびきではなく「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。中でも、もっとも多いタイプが「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」です。
この疾患は、睡眠中に気道がふさがれることによって呼吸が止まる(あるいは著しく弱まる)状態を繰り返す病気であり、全身の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
実はこのOSA、医科の分野だけでなく「歯科」でも治療の一端を担うことができることをご存じでしょうか。本コラムでは、OSAの基本的な知識から、歯科的アプローチの有効性、治療の流れ、そして患者さんの疑問への回答までを詳しくご紹介します。

1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは

■ 睡眠中の「無呼吸」がもたらす深刻な健康被害

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea:OSA)とは、睡眠中に気道が物理的にふさがれ、10秒以上の呼吸停止(無呼吸)が1時間あたり5回以上生じる状態をいいます。重症度は、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI:無呼吸低呼吸指数)で分類されます。

•軽症:AHI 5~15
•中等症:AHI 15~30
•重症:AHI 30以上

これらの呼吸停止は、身体に以下のような悪影響をもたらします。

•睡眠の質の低下(熟睡できない)
•日中の強い眠気、集中力の低下
•高血圧、糖尿病、心不全、脳卒中のリスク増加
•交通事故や労働災害のリスク上昇
•性機能の低下やうつ症状の併発

とくに中高年男性に多い病気ですが、女性や子どもにも見られることがあり、近年ではその早期発見・早期治療の重要性が強く認識されるようになっています。

2. OSAの原因と発症メカニズム

OSAの主な原因は「上気道の閉塞」です。具体的には、以下のような要因が挙げられます。

■ 解剖学的な原因

•扁桃肥大
•舌が大きい(舌根沈下)
•下顎が小さい・後退している
•肥満による首周りの脂肪沈着
•鼻づまり(鼻中隔弯曲、アレルギー性鼻炎など)

■ 筋力の低下・加齢

睡眠中は全身の筋肉が緩むため、気道を支えている筋肉も緩みます。とくに仰向け寝では、舌が喉の奥に落ち込みやすく、気道をふさぐ原因となります。

3. OSAの治療法にはどんなものがあるのか

OSAの治療には、医科と歯科の連携による複数のアプローチが存在します。

【医科領域での治療】

● CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
もっとも一般的な治療法で、マスクをつけて空気を送り込み、気道を強制的に広げる方法です。中等症〜重症の患者に適応されます。
● 減量指導・生活習慣の改善
肥満が関与している場合は、体重を減らすことが大きな改善につながります。
● 外科的治療(鼻中隔矯正、扁桃摘出、顎矯正など)
解剖学的な閉塞の程度が重い場合に検討されます。

4. 歯科でできるOSA治療:スリープスプリント(口腔内装置)

歯科領域でのOSA治療として注目されているのが「口腔内装置(Oral Appliance:OA)」を使ったスリープスプリント療法です。
この装置は、下顎を前方に固定するマウスピース型の装具で、睡眠中に気道が閉塞しないよう、下顎と舌の位置を前に引き出し、気道を広げる役割を果たします。

5. スリープスプリントの仕組みと効果

■ 構造と使用方法

スリープスプリントは、上下の歯列にフィットする透明または半透明のレジン製の装置で、装着時に下顎がわずかに前方に固定される設計となっています。
患者さんの顎や歯列に合わせたオーダーメイド製作のため、違和感が少なく、無理なく使用できるように調整されます。

■ 効果が期待できるケース

•軽度〜中等度のOSAの方
•CPAPに抵抗がある、または使えない方
•出張や旅行が多く、携帯性を重視したい方
•鼻呼吸が可能で、重度の鼻づまりがない方

実際に、軽度〜中等度の患者においては、睡眠時の無呼吸・低呼吸の回数が大きく減少し、日中の眠気やいびきが改善されたという報告が多数あります。

6. スリープスプリント製作の流れ

歯科医院でのスリープスプリント製作は、以下のようなステップで進行します。

【ステップ1】 医科での診断(紹介状が必要)

まず、耳鼻科や睡眠外来で睡眠検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ検査)を受け、OSAの診断を受けます。その結果とともに、口腔内装置の適応があると判断された場合、歯科医院に紹介状が送られます。

【ステップ2】 歯科での口腔内検査と型取り

歯の状態、顎関節の可動域、歯周病の有無などをチェックした上で、上下顎の歯型を採取し、スリープスプリントを製作します。

【ステップ3】 装着・フィッティング

完成後に装着し、違和感がないか、下顎の前方位が適切かを確認・調整します。

【ステップ4】 定期的なフォローアップ

装置使用中は、数週間〜数か月後に再検査を行い、AHIの改善度や装着感を評価します。必要に応じて再調整も行います。

7. 歯科での治療に関するQ&A

Q1. 保険は使えるの?

A. 条件を満たせば保険適用可能です。
医科でOSAと診断され、スリープスプリントの適応とされた場合は、健康保険での作製が可能です。必要書類(診断書や紹介状)を持参してください。

Q2. 違和感はありませんか?

A. 初期は多少の違和感がありますが、多くの方が数日で慣れます。
下顎がやや前に出されるため、最初の数日は顎関節や歯に軽い緊張を感じることがあります。装置の調整や使用時間のコントロールで、スムーズに慣れることが可能です。

Q3. 装置を毎晩使わないとダメですか?

A. 基本的には毎晩の使用が推奨されます。
効果を持続させるためには、継続的な使用が必要です。ただし、旅行や短時間の仮眠時など、状況に応じた活用も可能です。

Q4. 歯が少なくても作れますか?

A. 状況によっては難しいこともありますが、部分入れ歯の併用などで対応可能な場合もあります。
口腔内の状態に応じて設計を調整することができますので、まずはご相談ください。

8. 医科との連携が鍵

睡眠時無呼吸は歯科だけで完結する治療ではありません。スリープスプリントを有効かつ安全に使うためには、耳鼻咽喉科や内科などの医師との密な連携が不可欠です。
また、歯科治療の副次的な効果として、スリープスプリントの使用中に発見される「顎関節症」や「歯ぎしり」「口腔乾燥症」といった別の問題も、適切に管理・治療することが重要です。

9. 睡眠は「歯科」でも支えられる

これまで、「いびき=ただの騒音」と思われていたものが、実は命に関わる重大な疾患のサインであることが分かってきました。そしてその治療には、医科と歯科が手を取り合い、総合的にケアしていくことが求められています。
スリープスプリントによる治療は、患者さんにとって比較的負担が少なく、継続しやすい選択肢のひとつです。毎日の眠りの質を高めることは、人生そのものの質を高めることにつながります。

まとめ ― 深い眠りは、健康な歯と顎から

「日中どうも眠い」「いびきが気になる」「夜中に何度も目が覚める」――その症状、もしかすると閉塞性睡眠時無呼吸が原因かもしれません。
当院では、医科からの紹介をもとに、患者様一人ひとりに合わせたスリープスプリントを製作し、睡眠の質と全身の健康改善をサポートしております。いびきや眠気でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
静かな眠りと、健康な毎日を、私たちと一緒に取り戻しましょう。

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