アフタ性口内炎とストレスの関係――子どもにも起こる繰り返し口内炎
はじめに
「子どもが口の中に白い潰瘍ができて痛がっている」
「食事のたびにしみてかわいそう」
保護者の方からよく聞かれる症状のひとつが「アフタ性口内炎」です。
アフタ性口内炎は、唇や頬の内側、舌、歯ぐきにできる浅い潰瘍で、多くの場合2週間ほどで自然に治癒します。
しかし、子どもに繰り返し発生する場合は、ストレスや免疫低下、口腔環境の問題などが深く関わっていることがあります。
本コラムでは、アフタ性口内炎が子どもに起こる仕組みやストレスとの関連、そして予防のポイントについて詳しく解説します。
アフタ性口内炎とは?
白い潰瘍が特徴的な粘膜の炎症
アフタ性口内炎は口腔粘膜に発生する浅い潰瘍(アフタ)が特徴です。
中央が白色〜黄色、周りが赤く縁取られた見た目になることが多く、触れると強い痛みを伴います。
子どもに見られやすい部位
•頬の内側
•舌の側面・先端
•下唇の内面
•歯ぐき付近
特に舌にできた場合、食事や会話に大きな支障が出ます。
なぜアフタ性口内炎が起こるのか?
原因は1つではなく、複合的な要因が関わるとされています。
特に子どもでは、以下が代表的です。
①ストレスと免疫機能の乱れ
意外かもしれませんが、精神的・身体的ストレスは子どもの口内炎を誘発する重要な要因です。
ストレスが加わると自律神経バランスが崩れ、
→ 唾液量が低下
→ 免疫力が弱まる
→ 粘膜バリアが脆弱になる
この流れが繰り返しアフタ性口内炎を起こす背景になると考えられています。
子どもの場合に見られるストレス例
•入園・入学、クラス替えなど環境変化
•生活リズムの乱れ
•習い事や宿題量の増加
•対人関係の不安
•保護者の状況変化(転居・仕事・出産など)
大人と同じように子どもも日々ストレスにさらされており、これが粘膜免疫の低下として現れることがあります。
② 栄養バランスの乱れ
特に以下の栄養素不足が指摘されています:
•ビタミンB群
•鉄
•葉酸
•亜鉛
成長期の食生活が偏ると粘膜機能が低下し、アフタ性口内炎を繰り返すリスクが高まります。
③ 口腔環境のトラブル
•歯ブラシの強い接触
•頬や唇の粘膜を噛んでしまう癖
•歯並びの不正で粘膜に擦れる
•矯正装置による接触刺激
粘膜の微細損傷から炎症が起きるケースもあります。
④ 免疫機能の低下時
風邪や感染症後、ワクチン接種後、睡眠不足などで免疫力が落ちた時に症状が現れやすくなることもあります。
ストレスとの関連性は医学的にも指摘されています
アフタ性口内炎の発生要因として最も有力視されているのが、免疫反応の乱れです。
ストレスは免疫細胞の働きを抑制するとともに、粘膜の再生能力も低下させます。
特に子どもは環境変化や気持ちの揺れに敏感で、ストレス反応が体に出やすい傾向があります。
「学校が忙しくなった頃から繰り返し起きている」
「新しい習い事を始めてから増えた気がする」
といった保護者の声は珍しくありません。
病気が隠れている場合もあります
多くは一過性ですが、以下の場合は他の病気を疑うこともあります:
•月に何度も繰り返す
•潰瘍の数が多い
•発熱や倦怠感を伴う
•3週間以上改善しない
ベーチェット病や腸疾患など、全身疾患の初発症状として現れることもあります。
反復する場合は歯科だけでなく医科との連携も必要です。
自宅でできる対策
①お口の清潔を保つ
歯磨きは刺激の少ないやわらかめのブラシで。
②栄養バランスを整える
•ビタミンB群(レバー・卵・魚)
•亜鉛(肉・ナッツ類)
•鉄分(赤身肉・豆類)
過度な偏食がないかも確認しましょう。
③規則正しい生活習慣
•睡眠不足
•不規則な生活
•運動不足
は免疫低下につながりやすい要因です。
④ストレスサインを見逃さない
「学校どう?」「最近困ってることある?」
些細な会話も、子どものストレス軽減につながります。
歯科でできるケア
①刺激源の確認
•歯の鋭縁が粘膜を刺激していないか
•抜歯や外傷後の傷はないか
•歯並びによる接触はあるか
原因となる部位を評価します。
②レーザー治療で痛みの緩和
口内炎部分へレーザーを照射することで
•痛みの軽減
•治癒促進
•再発予防
が期待できます。
照射は数分程度で、子どもも受けやすい処置です。
③再発予防の環境調整
唾液分泌、口呼吸傾向、磨き方、舌癖なども含め総合的に評価します。
ストレスと口内の不調は密接に関連しています
アフタ性口内炎は、子どもの心と体のバランスが崩れているサインであることも少なくありません。
•学校環境の変化
•生活リズムの乱れ
•保護者・兄弟との関係性
こうした背景を理解しながらケアする姿勢が大切です。
繰り返す場合や痛みが強い場合は、歯科医院での診察をおすすめします。
まとめ
✔ アフタ性口内炎は子どもにも繰り返し起こり得る
✔ 背景にはストレスや免疫低下が関係
✔ 栄養不足や口腔刺激も要因となる
✔ 再発性の場合は専門的評価が必要
✔ 歯科ではレーザー治療などで痛み緩和と回復促進が可能
「そのうち治る」と放置するのではなく、
頻度が多い場合は一度専門的なチェックを受けることで、原因を明確にし再発を抑えることができます。
2025年12月11日 カテゴリ:未分類


