ボトルカリエス(哺乳瓶虫歯)とは ― 赤ちゃんの歯を守るために知っておきたいこと
はじめに
赤ちゃんの可愛い乳歯が虫歯になってしまう——それは多くの保護者にとって大きなショックでしょう。中でも「ボトルカリエス(哺乳瓶虫歯)」は、まだ自分で歯みがきもできない時期に起こる虫歯として、注意が必要なトラブルです。早期発見と予防が何よりも大切です。本コラムでは、ボトルカリエスの原因、症状、予防法、そして治療についてわかりやすく解説します。
ボトルカリエスとは?
ボトルカリエスとは、哺乳瓶を使ってジュースやミルクなどの甘い飲み物を頻繁に、または長時間与え続けることで発生する乳歯の虫歯です。特に眠っている間に哺乳瓶をくわえたまま寝てしまう習慣があると、虫歯菌が糖を栄養源として酸を出し、歯を溶かしてしまいます。
主に上の前歯から進行し、複数の歯が一気に虫歯になる傾向があります。
なぜ哺乳瓶で虫歯になるのか
哺乳瓶で虫歯になる最大の理由は、「長時間にわたり口の中に糖が残る」ことです。
赤ちゃんは唾液の量が少なく、口腔内を清潔に保つ力が弱いため、糖分が歯の表面にとどまりやすくなります。特に就寝中は唾液の分泌が少なくなるため、虫歯のリスクがさらに高まります。
どんな飲み物が危険?
・市販の果汁ジュースやスポーツドリンク
・加糖ミルクや調整粉乳
・乳酸菌飲料や炭酸飲料
これらを哺乳瓶で頻繁に与えることは、虫歯リスクを高めます。
注意点として、「100%果汁だから安心」という思い込みも危険です。天然の果糖も虫歯の原因になります。
どんな症状が出るの?
初期には白っぽい濁りや斑点が歯に現れます。その後、茶色や黒色に変色し、歯が欠けたり、穴があいたりします。進行すると、赤ちゃんが噛むのを嫌がる、食事量が減る、機嫌が悪くなるなどの変化が見られます。
気づいたときにはすでに複数の歯が虫歯になっていることも多く、早期発見が重要です。
どうすれば予防できる?
・哺乳瓶で甘い飲み物を与えるのは避ける(特に寝る前や夜間)
・1歳を目安に哺乳瓶からコップやストローに移行する
・食後やミルクの後には口をゆすぐ、またはガーゼで歯を拭く
・1日1回以上の仕上げみがきを行う(親が必ず)
・定期的に歯科検診を受ける(乳歯のチェックを含め)
治療が必要になったら?
虫歯が見つかった場合、年齢や虫歯の進行度に応じて、フッ素塗布、CR充填(プラスチックによる修復)、抜歯などの対応が取られます。小さな子どもでも治療が必要になることがあるため、恐怖心やトラウマを与えないよう、丁寧な説明と段階的な対応が重要です。
伊皿子おおね歯科医院では、保護者への説明とともに、お子さまが安心して通えるよう配慮しています。
まとめ
ボトルカリエスは、正しい知識と予防習慣で防ぐことができる虫歯です。赤ちゃんの健やかな口腔環境を守るためにも、保護者の方が早めに注意し、適切な生活習慣を整えることが大切です。
気になる症状がある場合は、どうぞ早めにご相談ください。早期発見・早期対応が、将来の健康につながります。
2025年8月14日 カテゴリ:未分類