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乳歯の早期脱落が与える影響 ― 将来の噛み合わせと発音へのリスク

はじめに

「乳歯はいずれ抜けるから大丈夫」
そう思われている保護者の方は少なくありません。
しかし実際には、乳歯は将来の永久歯の生え方、顎の発育、噛み合わせ、そして発音機能に深く関わる重要な役割を持っています。
特に、虫歯や外傷、進行した歯肉炎などで乳歯が“想定より早く抜けてしまう”こと(早期脱落)は、子どもの成長にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
本コラムでは、乳歯の早期脱落が引き起こすリスクと、歯科でできる対策について解説します。

乳歯が果たす大切な役割

乳歯は永久歯の「土台」となる存在です。
その役割は単なる“仮の歯”ではなく、以下のような発育に欠かせない要素を担っています:

•噛む機能の獲得
•発音の形成
•顎骨の正常な発達
•永久歯が生えるスペースの確保
•正しい噛み合わせ形成のサポート

つまり乳歯は、これから生える永久歯を正しい位置に導く“ガイド”でもあるのです。

「早期脱落」が起こる主な原因

•進行した乳歯の虫歯
•外傷による歯の破折・脱臼
•歯周炎や噛む力不足による歯の動揺
•生え変わり時期のトラブル(根吸収の異常など)

特に乳歯虫歯は、進行が早く痛みに気づきにくい場合も多く、知らないうちに神経や根にダメージが及ぶこともあります。

乳歯の早期脱落がもたらす影響

① 永久歯の生えるスペース不足

乳歯には、後から生えてくる永久歯の位置を確保する重要な役割があります。
早く抜けるとそのスペースが閉じてしまい、永久歯が正しい位置に生えられなくなることがあります。
その結果:

•歯並びがガタガタになる
•永久歯がねじれて萌出する
•八重歯・叢生が起こりやすい

さらに歯列の乱れは噛む能力低下や顎の成長にも影響します。

② 噛み合わせの乱れ

乳歯のスペースが失われて永久歯の並ぶ位置がズレ始めると、上下の噛み合わせにもズレが生じます。

•上下の歯が正しく噛み合わない
•奥歯の位置関係が狂う
•顎の偏位が起こりやすい

噛み合わせは顔の成長にも関与するため、放置すると骨格的特徴にも影響を残すことがあります。

③ 発音への影響

特に前歯の早期脱落は、発音形成に影響することがあります。
影響しやすい発音例

•「サ行・タ行・ナ行」が不明瞭になる
•空気が抜ける感じの発音になる
•舌が正しい位置に置けない

子どもの発語学習は、舌の位置や歯列の形態と密接な関係があります。
乳歯が早く抜けてスペースが変化すると、舌の使い方そのものが変わってしまうこともあります。

④ 咀嚼力の低下

乳歯が抜けた場所は噛む面積が減り、食べ物をしっかり噛めなくなります。

•咀嚼回数が減る
•食べ物を丸飲みしやすくなる
•消化器系への負担
•衛生環境の悪化(噛み砕き不足)

しっかり噛む習慣は顎の発育にも影響します。
噛む力が不足すると、顎骨の成長が進みにくい傾向もあるとされています。

歯科医院での対策

乳歯の早期脱落が起きた場合でも、適切な対策を行うことで将来のリスクを軽減できます。

✔ スペース管理(保隙装置の検討)

永久歯の生えるスペースを守るために、必要に応じて保隙装置(ほげきそうち)を使用します。
これは、空いたスペースを維持し、永久歯が正しい位置へ萌出するよう誘導する装置です。

✔ 噛み合わせと顎の成長を経過観察

成長期の子どもは顎の発育が活発な時期。
歯並びや噛み合わせの変化を定期的にチェックし、必要であれば小児矯正も検討します。

✔ 発音・舌の位置の評価

前歯の欠損による舌の位置変化が疑われる場合、
•正しい舌の運動
•発音のサポート
•飲み込み(嚥下)トレーニング
などの指導を行うこともあります。

✔ 食事指導

乳歯欠損による咀嚼力低下が見られる場合は、
噛む回数を意識した食材選びや食べ方指導もサポートします。

ご家庭で注意したいポイント

① 乳歯の「ぐらつき」や痛みを見逃さない

痛がらずに進むことも多いため、しっかり観察を。

② 外傷時は必ず歯科受診を

転倒などで乳歯が揺れる・抜けた場合は早急な診断が必要です。

③ 歯磨きと定期検診で虫歯予防

乳歯虫歯の進行は早く、根まで一気に影響することもあります。

乳歯が抜ける時期は?

正常な交換時期を知ろう

一般的に、乳歯は5~12歳頃にかけて徐々に永久歯へと生え変わります。
この時期よりも大きく前倒しで脱落した場合、必ず歯科医による評価が必要です。

よくある質問(Q&A)

Q1:乳歯が抜けた場所が空いていれば問題ない?

一見空いていても、その後すぐスペースが閉じてしまう場合があります。
評価と経過観察が必要です。

Q2:乳歯虫歯で自然に抜けたら放置して良い?

早期脱落の場合は、永久歯の生える位置や方向に影響する可能性があります。

Q3:いつ受診すればいい?

「予定より早い時期の乳歯脱落」や、痛み・腫れ・外傷の後は早めにご相談ください。

まとめ

乳歯の早期脱落は「よくあること」ではありますが、
歯並び・噛み合わせ・発音・顎の発育に影響する大切なサインでもあります。
適切なスペース管理や経過観察を行うことで、
将来の歯並びの乱れや発音の問題を防ぎ、健全な成長を支えることができます。
「乳歯が抜けるのが早い気がする…」
「歯並びが少し変わってきた気がする」
そんな気づきは、歯科に相談すべきタイミングです。
伊皿子おおね歯科医院では、
口腔機能や顎発達、永久歯の生える方向まで丁寧に評価し、
お子さまの未来の健康につながるサポートを行っています。

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