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口腔ケアと一緒に“鼻うがい”も ― 高齢者の誤嚥予防と感染対策

【はじめに】

高齢化が進む日本では、誤嚥性肺炎やインフルエンザ、新型コロナウイルスなど、呼吸器感染症による入院・死亡が深刻な問題となっています。これらの疾患には、「口や鼻の衛生状態」が深く関係していることが分かっています。
口腔ケアの重要性は徐々に広まっていますが、鼻のケア=鼻うがいに関しては、まだ一般的とは言えません。
しかし近年、鼻うがいは呼吸器感染予防や口腔疾患予防にも有効なセルフケアとして、医療現場で注目されています。
このコラムでは、鼻うがいが高齢者の健康にどのようなメリットをもたらすのか、また歯科の視点から見た活用方法について詳しくご紹介します。

【高齢者における誤嚥のリスクとは】

加齢とともに、咀嚼や嚥下などの機能は徐々に衰えていきます。舌や口周囲の筋力低下により、食べ物や唾液が気道へ誤って入り込む=誤嚥が起こりやすくなります。
誤嚥が続くと、気道に入った細菌が肺に達し、「誤嚥性肺炎」を引き起こします。実際に肺炎による死亡者の多くが高齢者であり、その多くが誤嚥と関係しています。
さらに、口腔内には数百種類もの細菌が存在し、歯垢や舌苔を介して容易に増殖します。これらの細菌が誤嚥によって気道に入り込むことで、感染のリスクが高まります。

【鼻うがいが果たす役割】

鼻うがいとは、塩分を含んだぬるま湯で鼻腔内を洗い流すセルフケアです。鼻の奥には、ウイルスや細菌、アレルゲン、ほこりなどが溜まりやすく、感染の入り口となりがちです。
鼻うがいを行うことで、以下のような効果が期待されます。
•ウイルスや細菌の物理的除去による感染症予防
•鼻づまりの改善による口呼吸の防止
•上咽頭部の清浄化による免疫機能の安定
特に口呼吸は、口腔内を乾燥させ、細菌の増殖や虫歯・歯周病のリスクを高めるため、鼻呼吸の確保は非常に重要です。

【鼻うがいと口腔ケアの相乗効果】

口腔ケアで口内の細菌を減らし、鼻うがいで鼻腔に潜むウイルスや異物を洗い流すことで、感染のリスクを二重に抑えることができます。
さらに、鼻呼吸が安定すれば舌の位置が正しく保たれ、嚥下機能が改善されやすくなります。
これは、誤嚥性肺炎や口腔機能低下症の予防にもつながります。
つまり、口と鼻をセットでケアすることが、全身の健康維持につながるのです。

【具体的な鼻うがいの方法】

市販の専用ボトルや洗浄器を使用することで、誰でも安全に鼻うがいが行えます。以下は基本的な手順です。

1.約0.9%の塩分濃度(生理食塩水)を約36〜37度のぬるま湯で準備
2.専用ボトルに液を入れる
3.洗面台の前で口で息をしながら、片方の鼻からゆっくり注水
4.反対側の鼻または口から流れ出すよう姿勢を調整
5.左右を交互に行い、最後に軽く鼻をかむ

ポイントは、ゆっくり・優しく・無理をせず。
高齢者には付き添いや初回指導があると安心です。

【歯科医院での取り組み】

当院では、口腔ケアの一環として「鼻うがい」の導入も推奨しています。
特に以下のような方には、鼻うがいの実施を勧めています。
•過去に誤嚥性肺炎を経験した方
•季節ごとに風邪やインフルエンザにかかりやすい方
•鼻呼吸がうまくできない方(鼻炎・副鼻腔炎の方など)
歯科の定期検診では、お口の中だけでなく呼吸の状態や習癖も確認します。必要があれば、耳鼻科との連携を取りながら、より包括的な予防策をご提案いたします。

【よくある質問 Q&A】

Q:鼻うがいって痛くないですか?

A:正しい濃度の塩水を使えばほとんど痛くありません。水道水や真水は鼻がツンとするので避けてください。

Q:毎日やらないといけませんか?

A:毎日が理想ですが、花粉や風邪が気になる季節だけでも効果があります。無理せず続けることが大切です。

Q:耳に水が入りそうで怖いのですが?

A:正しい方法でゆっくり行えば問題ありません。不安な方は医師や歯科医に相談しましょう。

【まとめ】

誤嚥性肺炎や風邪など、呼吸器の感染症は高齢者の生活の質を大きく左右します。
口腔ケアと同時に、鼻うがいという新しいセルフケアを取り入れることで、感染リスクを大きく減らすことができます。
これからの時代、「歯を磨く・舌をきれいにする・鼻を洗う」という3つの習慣が、高齢者の健康を支える基本となるかもしれません。
当院では、患者さま一人ひとりに合わせた口腔・呼吸ケアをサポートしています。お気軽にご相談ください。

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