白金高輪の歯医者伊皿子おおね歯科医院。白金高輪駅、泉岳寺駅徒歩5分

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離乳食と小児口腔機能発達 ― 食べ方から始まる予防法

はじめに:離乳食期は「口の発達」が始まる重要な時期

赤ちゃんの健やかな成長にとって、離乳食は単なる栄養補給ではありません。この時期は、噛む・飲み込む・舌を動かすなど、「口腔機能」が本格的に発達を始める極めて大切なステージです。つまり、離乳食の与え方や赤ちゃんの“食べ方”が、将来の歯並びや発音、さらには集中力や学習能力にもつながる基盤になるのです。

離乳食と小児口腔機能の深い関係

口腔機能とは、噛む・飲み込む・話す・呼吸するといった基本的な口の働きを指します。離乳食期はこれらの機能の“土台作り”の期間です。ミルクを吸う動きから、舌を動かし、唇を閉じ、咀嚼し、飲み込むといった一連の動作を学ぶ中で、自然と舌や唇、顎などの筋肉が育まれます。

離乳食のステップと口腔機能の発達段階

離乳食は「初期」「中期」「後期」「完了期」とステップを踏んで進めますが、これは栄養面だけでなく口腔機能の発達とも密接に関係しています。

– 初期(5〜6ヶ月)… 舌を前後に動かす練習
– 中期(7〜8ヶ月)… 舌を上下に動かし、口の中で食べ物を移動させる
– 後期(9〜11ヶ月)… 歯ぐきでの咀嚼が始まり、舌や頬の筋力が発達
– 完了期(12〜18ヶ月)… 前歯でかじる、奥歯で潰す、唇を閉じて飲み込む動作が完成

このステップを飛ばしたり遅らせたりすると、口腔筋機能の発達に偏りが生じることがあります。

よくある誤解とその影響

「むせないように」と、とろとろの食事を長期間与えすぎてしまうと、舌や唇、頬の筋肉を使うチャンスを逃してしまいます。また、前歯が生えてきても「食べやすいように」と細かく切って与えすぎると、かじる動作が育たず、発音や歯並びにも影響を与える可能性があります。

舌・唇・頬の筋力を育てる食べ方とは?

正しい口腔発達には、赤ちゃん自身が「自分で食べる」ことが重要です。スプーンを口に突っ込むのではなく、赤ちゃんが自分から口を閉じて取り込むようにしましょう。また、もぐもぐする回数が増えるように少しずつ固さを変え、筋肉を自然と使うように促していくことが大切です。

手づかみ食べと姿勢の重要性

「汚れるから…」と手づかみ食べを避けていませんか? 手で食べ物をつかみ、口に運ぶ過程は、手先の発達だけでなく口腔機能の発達にも大きな影響があります。特に、姿勢を正し、足裏がしっかり床についている状態で食事をすることで、噛む力・飲み込む力が安定し、全身の成長にもつながります。

食べる力が育つと将来にどうつながるか

離乳食期に正しい食べ方を身につけた子どもは、口呼吸や誤嚥のリスクが減少し、集中力・姿勢の安定にもつながるとされています。また、口腔機能が十分に発達することで、歯並びの問題や発音障害の予防にも効果があるといわれています。

歯科医院でのサポート

小児歯科では、食べ方や口腔の発達状況をチェックし、必要に応じて食育指導や口腔筋機能療法(MFT)を行うことができます。特に、口がポカンと開いている、よくむせる、食事に時間がかかるといったサインがある場合は、早期の相談がおすすめです。

まとめ:予防は離乳食から始まっている

むし歯や歯並びの問題、そして集中力や学力の低下――。これらはすべて、離乳食期の“食べ方”が深く関係しています。離乳食を単なる栄養補給ではなく、「お口の機能を育てる大切なトレーニング」と捉えて、日々の食事に向き合っていくことが、お子さんの健やかな未来につながる第一歩となるのです。

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小児矯正と機能訓練 ― 早期介入で変わる成長経路

はじめに:歯並びの問題は“成長の中で整う”は本当?

「子どもの歯並び、いずれ整うだろう」と思っていませんか?確かに、乳歯から永久歯への生え変わりの過程で自然に改善するケースもありますが、近年では食生活や口腔機能の未発達、口呼吸などが影響し、自然には整わない歯並びの子どもが増えています。本コラムでは、成長期の歯並びの問題に対して早期に対応する「小児矯正」と「機能訓練(MFT)」の重要性について解説します。

小児矯正とは何か ― 大人の矯正との違い

小児矯正とは、主に6歳から12歳の成長期に行われる歯列矯正のことを指します。大人の矯正が「すでに完成した歯列の移動」であるのに対し、小児矯正は「顎の成長をコントロールする」ことが目的です。顎の成長を正しい方向に導くことで、歯がきれいに並ぶスペースを確保したり、将来的な抜歯や大がかりな矯正治療を回避できる可能性が高まります。

口腔機能と歯並び ― 噛む・飲む・呼吸するの連動

歯並びは、単に歯だけの問題ではありません。舌・唇・頬などの筋肉の使い方、噛み方、飲み込み方、呼吸の仕方といった「口腔機能」が密接に関わっています。特に「口呼吸」は歯並びに大きな悪影響を与えるとされており、上顎が十分に発達せず狭くなり、前歯の突出や開咬を引き起こす原因になります。

機能訓練(MFT)の役割とは?

MFT(口腔筋機能療法)は、舌・唇・頬・顎などの筋肉の正しい使い方を習得する訓練です。歯並びの乱れは、多くの場合、誤った舌の位置や呼吸習慣が原因であり、矯正装置だけでは根本解決ができません。MFTでは、舌の正しい位置、鼻呼吸の習慣化、嚥下や発音の正常化などを通じて、歯列を安定させる土台を作ります。

早期介入のメリット(顎の成長誘導、抜歯の回避など)

成長期の子どもにとっての最大のメリットは、「骨格がまだ柔らかく、誘導しやすい」という点です。上顎や下顎の成長方向を正しくコントロールすることで、将来的に抜歯や外科手術を必要としない自然な矯正が可能になります。また、子ども自身が治療に慣れやすく、習慣の修正がしやすいのも早期介入の利点です。

よくある誤解とその背景

「永久歯が生えそろってから治療した方が効率が良いのでは?」という考え方は今も根強くありますが、これは一部正しく、一部誤解です。歯の生え変わりを待ってしまうことで、骨格的な問題が固定されてしまい、より大がかりな矯正が必要になることがあります。また、悪習癖が固定化され、口呼吸や舌癖が改善しにくくなるリスクもあります。

保護者が気付きやすい“早期介入が必要なサイン”

– 口がポカンと開いている(口唇閉鎖不全)
– 食事中にくちゃくちゃ音を立てる
– 舌を前に突き出す癖がある
– いつも猫背で、姿勢が悪い
– 発音が不明瞭で聞き取りにくい

これらのサインは、口腔機能の不全や歯並びの問題につながる可能性があります。早期のチェックと対処がカギとなります。

歯科医院での診断と指導の流れ

歯科医院では、まず視診や模型、レントゲン撮影などを用いて顎の大きさ・歯の位置・噛み合わせなどを確認します。加えて、舌の動きや呼吸の状態、姿勢、筋肉の使い方なども総合的に評価し、必要に応じて矯正装置やMFTの提案を行います。

小児矯正と機能訓練の具体例

– 拡大床:上顎を拡げるための装置で、狭い歯列を改善
– マウスピース型矯正:取り外し可能な装置で、子どもの負担が少ない
– MFT:舌の体操、発音練習、呼吸訓練などを通じて歯列を支える筋肉を強化

これらを組み合わせることで、より自然で安定した矯正効果が期待できます。

まとめ:子どもの成長力を生かすなら“今”が大事

小児矯正と機能訓練は、単に歯並びを整えるためのものではありません。子どもの成長力を最大限に生かし、将来の健康や自信、学力や集中力にまで良い影響を与える「予防的な医療」としての側面を持っています。保護者が「今」気づき、歯科医院でのチェックを受けることで、お子さまの未来は大きく変わるかもしれません。歯並びに限らず、お口まわりに気になる癖やサインがある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

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【白金高輪の歯科医が解説】小児矯正は何歳から?

はじめに

「うちの子の歯並び、大丈夫かな?」「矯正って何歳から始めればいいの?」こうした疑問は、多くの保護者の方が抱くものです。今回は、白金高輪にある伊皿子おおね歯科医院の小児矯正専門医(女性医師)が、小児矯正の適切な開始時期とその判断のポイントについてわかりやすく解説します。

小児矯正は“何歳から”始めるべき?

一般的に、小児矯正は「第1期治療」と「第2期治療」に分かれます。第1期治療は6〜9歳ごろ、乳歯から永久歯への生え替わりが始まるタイミングが目安です。この時期の治療では、顎の成長をコントロールしたり、悪習癖を改善したりすることが目的です。
歯がすべて永久歯に生え変わった後(おおよそ12歳以降)に始まるのが第2期治療で、本格的な歯列矯正(ワイヤー矯正やマウスピース型矯正など)を行います。

“早く始める”メリットと注意点

6歳ごろから始める小児矯正には、以下のようなメリットがあります:

– 顎の成長を利用して自然な歯列を誘導できる
– 永久歯の抜歯を避けられる可能性が高くなる
– 悪習癖(口呼吸、舌癖、指しゃぶりなど)を改善しやすい

ただし、すべての子どもに早期矯正が必要というわけではありません。歯並びだけでなく、口腔習癖や顔貌のバランスも含めて、総合的に診断することが大切です。

こんなサインがあれば一度相談を

お子さまに次のような傾向が見られたら、一度矯正相談をおすすめします:

– 前歯が噛み合わず、隙間がある(開咬)
– 出っ歯や受け口が目立つ
– 口をポカンと開けている(口唇閉鎖不全)
– 舌の位置が低く、飲み込みが変
– 指しゃぶりや頬杖などの癖が続いている

こうした状態は、放っておくと将来的な歯並びや発音、呼吸に悪影響を及ぼすこともあります。

当院の取り組み ― スマイルキッズプログラム

伊皿子おおね歯科医院では、お子さまの健やかな成長を支えるために「スマイルキッズプログラム」を導入しています。このプログラムでは、定期検診ごとに歯の生え方や顎の成長、口腔衛生状態をチェックし、必要に応じて矯正の介入時期を見極めます。
虫歯や歯肉炎の予防にとどまらず、将来の歯並びや口腔機能の健全な発達をサポートすることが目的です。

矯正専門の女性歯科医による安心の診療

当院には、小児矯正を専門とする女性歯科医が在籍しており、お子さまにも保護者の方にも安心してご相談いただける体制を整えています。小さな変化を見逃さず、一人ひとりの成長に合わせた丁寧な診療を心がけています。

まとめ

小児矯正は、ただ歯を動かす治療ではなく、成長発達をサポートする医療です。6〜9歳のタイミングは、歯並びを整える“準備期間”として非常に大切な時期です。
「何歳から始めるべき?」と迷ったときは、ぜひ早めにご相談ください。伊皿子おおね歯科医院では、専門医による的確な診断と、スマイルキッズプログラムによる継続的なフォロー体制で、お子さまの健やかな成長をサポートしています。

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見落としがちな「子どもの歯周病」:思春期性歯肉炎から始まる危険性

はじめに:歯周病は大人だけの病気ではない

歯周病といえば、大人や高齢者の病気というイメージが強いかもしれません。しかし、実際には子どもでも歯周病の初期症状が見られるケースがあります。特に、思春期に差しかかる小学校高学年から中学生の時期に注意が必要です。この時期にはホルモンバランスの変化により「思春期性歯肉炎」と呼ばれる症状が現れやすく、そのまま放置すると将来深刻な歯周病につながることもあります。本コラムでは、見落とされがちな子どもの歯周病の兆候とそのリスク、予防・対応方法について詳しく解説します。

子どもの歯ぐきに起こる変化とは?

子どもは歯が生え変わる時期や成長期に、口腔内の環境も大きく変わっていきます。乳歯から永久歯への移行、唾液の分泌量の変化、食生活の変化などが歯ぐきに大きな影響を与えます。また、小学校高学年以降になると歯の本数も増え、磨き残しが多くなりやすいことから、歯肉に炎症が起きやすくなります。

思春期性歯肉炎とは何か

思春期性歯肉炎は、第二次性徴の始まる思春期に多く見られる歯肉炎の一種で、性ホルモン(エストロゲン、テストステロン)の分泌が増えることにより、歯ぐきの炎症が起きやすくなる現象です。特にプラーク(歯垢)がたまっている状態でホルモンの影響を受けると、歯肉が赤く腫れたり、出血しやすくなったりします。

思春期性歯肉炎の原因と特徴

– ホルモン変化による歯肉組織の感受性の上昇
– プラークコントロールの不十分さ
– 部活動や受験勉強などで歯みがきの時間が短くなりがちな生活習慣
– 甘いものや間食が増えることによる虫歯・歯肉炎リスクの増加

特に前歯や奥歯の歯肉が赤くなって腫れている、歯みがきのときに出血するなどの症状が見られます。

子どもの歯周病の進行と「若年性歯周炎」のリスク

思春期性歯肉炎が長期にわたって改善されない場合、まれに「若年性歯周炎(現在はStage分類におけるGrade分類で評価される)」へと進行することがあります。この病態は10代〜20代前半で歯周組織の破壊が急速に進行する特徴があり、場合によっては永久歯の喪失につながることもあります。早期の対応が極めて重要です。

どこで気づく?保護者と歯科医のチェックポイント

家庭では、お子さんが「歯みがきの時に血が出る」「歯ぐきがムズムズする」などと訴えていないか、よく観察することが大切です。また、歯並びが乱れている、ブラッシングが雑になりがちな場所(奥歯の後ろ側など)がないかもチェックしてください。歯科医院では、専門的な歯周ポケット測定やプラークの状態チェックなどを通じて早期発見が可能です。

こんな症状は要注意

– 歯みがき時の出血が2週間以上続く
– 歯ぐきが赤く腫れている
– 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
– 口臭が強くなった気がする
– 歯の根元が見えるようになってきた

これらの症状は軽視されがちですが、放置すると重度化する可能性があるため、歯科医師の診察を受けるようにしましょう。

予防の基本はやはり「正しい歯みがき」

子どもの歯周病予防の第一歩は、毎日の正しいブラッシングです。歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当て、小刻みに磨く方法を身につけることが重要です。年齢が低いうちは保護者の仕上げ磨きが必要であり、中高生になっても定期的に歯みがき方法を見直す機会を設けると効果的です。

歯科医院でできること:早期発見と適切なケア

歯科医院では、歯周ポケットの深さや出血の有無、歯垢・歯石の除去、フッ素塗布、歯磨き指導などを行い、歯周病の進行を食い止めることができます。また、思春期性歯肉炎は一時的なものであっても、慢性化する可能性があるため、歯科医院での定期的なチェックが不可欠です。

矯正治療との関係:装置の影響とケアのコツ

矯正治療中の子どもは、ブラケットやワイヤーが口腔内にあるため、どうしても歯磨きが難しくなりがちです。その結果、歯ぐきに炎症が起きやすくなり、思春期性歯肉炎を悪化させる要因にもなりえます。当院のように矯正専門医が在籍している歯科医院では、矯正と歯周管理を一体で進めることができ、安心して治療を受けられます。

子どもの歯ぐきを守るために家庭でできること

– 朝晩2回の丁寧な歯みがき(特に寝る前)
– 定期的な仕上げ磨きの実施
– 甘いお菓子やジュースを控える食習慣
– 3ヶ月〜半年に一度の定期検診を習慣化
– 歯ぐきの色や腫れの変化に日々目を向ける

これらの生活習慣を見直すことで、子どもの歯周病予防につながります。

まとめ:今こそ「子どもの歯周病」に目を向けて

「子どもの歯周病」は決して珍しい病気ではありません。むしろ、成長期特有のリスクを抱えるため、保護者と歯科医が連携して見守る必要があります。思春期性歯肉炎を単なる一時的な炎症と見過ごさず、早期に気づいて正しく対応することで、将来の口腔トラブルを予防できます。毎日のケアと定期的なプロの診察で、お子さまの健やかな口腔環境を守っていきましょう。

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歯並びが発音に影響?構音障害の原因と歯科でできるサポートとは

構音障害とは何か?

構音障害とは、話すときの発音が不明瞭で、言葉が聞き取りにくくなる状態を指します。子どもが「さかな」を「たかな」と発音したり、「き」を「ち」と置き換えて話したりするのが代表的な例です。幼児期にはある程度自然な音の置き換えがありますが、年齢が上がっても改善されない場合、構音障害の可能性があります。

構音障害の種類

構音障害には大きく分けて3つのタイプがあります:

– 機能性構音障害:筋肉や器官に異常はないが、誤った発音の癖がついている
– 器質性構音障害:口唇裂や舌小帯短縮症など、構造的な異常が原因
– 運動障害性構音障害:脳や神経の障害により、話す筋肉の調整が難しい

それぞれの原因に応じて、必要なアプローチや専門職の連携が異なります。

発音に関わる器官とその役割

発音は、舌・口唇・歯・軟口蓋・声帯など多くの器官の協調によって成り立っています。例えば「さ行」の音を出すには、舌先を歯に近づけて息をこすらせる必要があり、舌の動きが非常に重要です。このため、舌の可動域や筋力に問題があると、正しい発音が難しくなるのです。

構音障害の原因となる歯科的要因

構音障害は言語発達の問題だけでなく、歯科的な要因も関与します。

– 開咬(前歯が閉じない)
– 出っ歯(上顎前突)
– 舌小帯短縮症(舌の裏のヒダが短く舌が動かしにくい)
– 歯の欠損や位置異常

これらの状態があると、音を正しく出すための舌や唇の動きが制限され、構音に支障が出ることがあります。

よく見られる誤音と年齢の目安

通常の発達でも、3歳〜4歳頃には「パ行」「カ行」「タ行」などがはっきりしてきます。

– 「サ行」や「ラ行」は発音が難しく、5〜6歳で確立されることが多い
– それ以降も発音にあいまいさが残る場合は専門的な評価が必要

保護者が「言い間違いかな?」と思っていたことが、実は構音障害だったというケースもあります。

構音障害のチェックポイント(家庭で気づけるサイン)

– 発音が聞き取りにくく、他人から「え?」と聞き返されることが多い
– 同年齢の子と比べて言葉が遅れている印象がある
– 特定の音(例:サ行・ラ行)をうまく言えない
– 舌を動かしにくそうにしている、舌の形が変
– 口呼吸や開咬がある

これらに当てはまる場合、一度歯科や言語聴覚士への相談が推奨されます。

歯科医院でできること

歯科医院では、口腔内の構造的な問題(舌小帯、歯列不正、咬合)を診断し、必要に応じて矯正治療や外科的処置(舌小帯切除など)を行います。また、構音障害に関わる筋機能の評価や、MFT(口腔筋機能療法)による訓練指導も可能です。言語聴覚士と連携し、発音面のサポートを行う体制が整っている医院もあります。

構音障害と向き合うために大切なこと

構音障害は、子どもの自尊心や社会性、学習にも影響を与えることがあります。だからこそ、「様子を見る」ではなく「早めに気づいて対応する」ことが大切です。歯並びや口腔機能の状態に応じて、歯科的アプローチからも改善できるケースが多いため、気になる症状があれば歯科医院にご相談ください。

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「噛む力」が集中力を支える?― 口腔機能発達不全と学力低下の意外な関係

はじめに:口の発達が“脳の働き”に影響する?

「うちの子、集中力がないんです」「すぐにぼーっとしてしまう」――そうした悩みを抱える保護者は少なくありません。その原因のひとつに、“お口の機能”が関係していることをご存じでしょうか。実は、噛む・飲み込む・呼吸する・話すといった「口腔機能」がきちんと発達していないと、脳への酸素供給が滞り、集中力や学習効率に悪影響を与えることがあるのです。本コラムでは、口腔機能発達不全と学力・集中力との関連について詳しく解説します。

口腔機能発達不全とは?

口腔機能発達不全症とは、噛む・飲み込む・発音する・呼吸するなど、口に関する基本的な機能が年齢相応に発達していない状態を指します。この状態が続くと、栄養摂取や言語発達だけでなく、姿勢・睡眠・集中力など全身の発達にも影響を及ぼすことが知られています。

噛む・飲み込む・呼吸する ― 基本機能の未発達が及ぼす影響

口の機能は相互に連携しています。例えば、噛む力が弱いと食事に時間がかかり、エネルギー摂取や咀嚼刺激による脳の活性化が不十分になります。また、正しい飲み込みができないと誤嚥のリスクや、舌・頬・唇の筋力低下を招きます。そして特に重要なのが「呼吸」の問題。口呼吸の子どもは常に酸素が不足気味になり、睡眠の質が低下して、日中の集中力にも大きく影響を与えるのです。

咀嚼と脳の血流・集中力の関係

しっかりと「噛む」ことは、単なる消化の第一歩ではありません。咀嚼刺激は脳の前頭前野(思考・判断・記憶に関与)を活性化し、集中力や記憶力の向上に関与していることが、近年の研究でも明らかになっています。実際に、ガムを噛みながら学習したグループの方が、記憶テストの成績が高かったという報告もあります。

口呼吸の子はなぜぼんやりしやすいのか

口呼吸は、鼻呼吸と異なり、空気が直接のどや肺に入るため加湿やろ過の機能が働きません。その結果、風邪をひきやすく、また浅い呼吸になることで脳への酸素供給が不足しがちになります。慢性的な酸素不足状態にあると、疲れやすさ・倦怠感・集中力の低下を招くほか、口を常に開けている状態が続くと歯並びや姿勢の乱れにもつながります。

発音と学習の関係 ― 言語発達の遅れからくる学力低下

口腔機能のひとつである「発音」も、学力と深い関係があります。発音に問題があると、語彙力や読解力の発達が遅れる傾向があります。また、正確に話す力が弱いことで、国語を中心とした教科学習や友人とのコミュニケーションにも消極的になる場合があります。

よくある家庭のサイン(食事中の様子、姿勢、会話)

以下のような様子が見られる場合、お子さんの口腔機能発達に注意が必要です:

– 食事が極端に遅い/早い
– 噛まずに飲み込んでいる
– 食事中に口を開けたまま噛んでいる
– 話し方が不明瞭で、発音が気になる
– 口がいつもポカンと開いている
– 姿勢が悪く、猫背になりがち

これらのサインは、口腔機能発達不全の可能性を示す重要な手がかりとなります。

歯科医院でできるアプローチ(MFT、姿勢指導、早期介入)

歯科医院では、お口の発達状態を評価する検査を通じて、口腔機能発達不全の兆候を早期に見つけることができます。とくに有効なのが「MFT(口腔筋機能療法)」です。これは、舌・唇・頬などの筋肉をトレーニングすることで、正しい嚥下・発音・呼吸を身につける療法です。さらに、姿勢指導や生活習慣のアドバイスを通じて、総合的なサポートを受けることができます。

保護者が家庭でできる取り組み

– よく噛む習慣づけ(食材の固さや調理法の工夫)
– 姿勢を正して食事をする
– 鼻呼吸を意識させる遊び(風車、風船)
– 音読や発声練習で口の動きを促す
– ポカン口を見かけたら声かけを

日常生活の中で、さりげない声かけや工夫を加えることで、お子さんの口腔機能は大きく改善されていきます。

まとめ:学力の基礎は「よく噛める」ことから

お口の機能が未発達だと、噛む力・飲み込む力・話す力が十分に育たず、それが脳の働きや学習能力にまで影響することが分かってきました。歯科は「むし歯を治す」だけの場所ではなく、お子さんの将来の集中力・学力を支える重要な役割を担っています。気になる症状があれば、ぜひ一度歯科医院に相談してみてください。

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「口腔がん」は他人事じゃない:早期発見が命を救うセルフチェックのすすめ

はじめに

「口腔がん」と聞いて、自分には関係ないと思っていませんか?実は、日本では毎年約8,000人以上が口腔がんと診断されており(※1)、その数は年々増加傾向にあります。しかし、他のがんと違い、初期段階で発見されれば予後が良く、命を救える可能性も高いのです。本コラムでは、口腔がんの基本情報やリスク因子、セルフチェックの方法、歯科医院でできる早期発見の重要性について解説します。

口腔がんとはどんな病気か

口腔がんは、舌・頬・歯ぐき・口蓋・唇・口腔底(舌の下)など、口の中にできるがんの総称です。もっとも多くみられるのは舌がんで、次いで頬粘膜がん、歯肉がんなどがあります。がん細胞は口腔内の粘膜の変化から発生し、周囲の組織に浸潤したり、頸部リンパ節に転移したりする可能性があります。

意外に多い?口腔がんの発症率とリスク

口腔がんはがん全体の中では比較的少ないとされるものの、高齢化や生活習慣の変化により増加傾向にあります。特に60歳以上の男性に多く見られますが、最近では若年層や女性の発症例も報告されています。

こんな人は要注意:口腔がんの主なリスク因子

– 喫煙(たばこに含まれる化学物質が口腔粘膜に長期にわたり刺激を与える)
– 飲酒(特にアルコールとタバコの併用は相乗的にリスクを高める)
– 合わない入れ歯や被せ物、慢性的な粘膜の傷
– ヒトパピローマウイルス(HPV)感染
– 不十分な口腔衛生

これらの要因を複数抱えている方は、日常的なセルフチェックと歯科受診が重要です。

早期発見の重要性:治癒率を大きく左右するステージ

口腔がんは進行がんになると、手術で大きく組織を切除する必要があり、顔貌や発音、嚥下機能に影響を与えることもあります。しかし、初期の段階で発見されれば、比較的軽い処置や放射線治療で対応可能です。5年生存率は早期発見で約80%以上とされ(※2)、いかに早く見つけるかが命を守るカギとなります。

今日からできるセルフチェックのポイント

月に1回程度、ご自身で以下のポイントを鏡の前でチェックしてみましょう:

– 舌の裏・側面に赤みや白い斑点がないか
– 頬の内側にしこりや傷、ただれがないか
– 歯ぐきに出血や腫れ、硬い部分がないか
– 唇の裏側や口蓋にざらつきや変色がないか
– 痛みのない潰瘍が2週間以上続いていないか

こうした変化に気づいたら、すぐに歯科医院を受診してください。

歯科医院での定期チェックのすすめ

歯科医院では、視診・触診・専用ライトを用いた検診により、口腔がんの兆候を早期に発見できます。特に3ヶ月〜6ヶ月に1回の定期検診を受けることで、病変の変化を早期にとらえることが可能です。また、がん以外の口腔内疾患の予防や、歯周病・虫歯治療も同時に行える点がメリットです。

もし疑わしい症状が見つかったら

気になる症状がある場合は、歯科医院での初期診察を経て、必要に応じて病院の口腔外科やがん専門機関への紹介が行われます。細胞診や生検(組織を採取して検査する方法)により、がんかどうかの確定診断が行われ、早期であれば迅速な対応が可能です。

まとめ:口腔がんと共に生きないために ― あなたにできること

口腔がんは「早期発見・早期治療」が何よりも重要な病気です。決して他人事ではなく、誰にでも起こり得る可能性があります。日頃のセルフチェックと、信頼できる歯科医院での定期検診を習慣にしましょう。口の中に異変を感じたら、迷わず相談する勇気が命を守る第一歩になります。

※1:九州大学病院がんセンターのページを参照
https://www.gan.med.kyushu-u.ac.jp/result/oral_cancer/
※2:公益社団法人神奈川県歯科医師会のページを参照
https://www.dent-kng.or.jp/colum/basic/1199/

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【白金高輪ママ必見】出っ歯・開咬の裏にある“異常嚥下癖”とは?家庭で気づく5つのサイン

異常嚥下癖とは何か?

異常嚥下癖(いじょうえんげへき)とは、食べ物や唾液を飲み込むときに、舌や唇、頬などの筋肉を正しく使えていない状態を指します。とくに、嚥下(飲み込み)時に舌が前方へ突き出るような動きをすることが特徴で、この動きは“舌突出癖”とも呼ばれます。このような癖があると、口腔機能の発達に影響を与えるだけでなく、歯並びや発音、顔つきにまで影響を及ぼすことがあります。

正常な嚥下との違い

通常の嚥下では、舌先が上あごのスポット(上前歯の少し後方)に接した状態で舌全体が後方に押し上げられ、スムーズに飲み込まれます。しかし異常嚥下癖がある場合、舌が前方へ突き出したり、上下の歯の間に入り込んだりします。これにより、前歯を押し続けてしまい、出っ歯や開咬といった不正咬合を引き起こすリスクが高まります。

なぜ異常嚥下癖が起こるのか?(原因)

原因はさまざまですが、主に以下の要因が挙げられます:

– 幼少期の口呼吸や指しゃぶり
– 離乳食期の咀嚼不足
– アレルギー性鼻炎や扁桃肥大による鼻詰まり
– 舌小帯の短縮

これらが重なることで、舌の正しい使い方が習得できず、異常な嚥下パターンが定着してしまうのです。

異常嚥下癖によるリスク(歯並び・発音・顔貌)

最も顕著な影響は歯並びです。舌が前歯を押すことで、出っ歯や開咬、すきっ歯といった不正咬合を引き起こします。また、舌の位置異常により発音に支障が出たり(特にサ行・タ行)、顎の筋肉の発達に偏りが生じて顔の非対称性や口元の突出が起きることもあります。

よくある症状とチェックポイント(家庭で気づけるサイン)

– 食べ物を飲み込むとき、口を閉じずに舌が見える
– 常に口が開いていてポカン口になっている
– 発音が不明瞭、特にサ行やタ行の発音が苦手
– 食事に時間がかかる、よくむせる
– 前歯が出ている、または前歯で噛み切れない

これらのサインが見られた場合は、早めの歯科受診をおすすめします。

歯科での診断と評価方法(嚥下機能検査・視診など)

歯科医院では、嚥下機能のチェックを行う際に、まず視診や問診を通してお口の状態を確認します。必要に応じて、嚥下の様子を動画で撮影したり、発音や舌の動きを評価したりすることで、異常嚥下の有無を診断します。さらに、歯並びの状態や顎の形態も総合的に判断し、必要な対策を講じていきます。

改善するための方法(MFTや舌の訓練)

異常嚥下癖の改善には、MFT(口腔筋機能療法)が有効です。これは、舌の位置や筋肉の使い方を訓練するプログラムで、毎日コツコツと続けることが重要です。
主な内容には以下のようなものがあります:

– 舌をスポットに当てる練習
– 唇を閉じる力を高めるトレーニング
– 鼻呼吸の習慣化
– 嚥下時の正しい舌の動かし方

これらを指導のもとに継続することで、少しずつ癖の修正が可能です。

成長期の早期介入のメリット

成長期の子どもは骨格や筋肉が柔軟なため、正しい習慣を早期に身につけることで大きな効果が期待できます。逆に、異常嚥下が長く続くと、歯列や骨格にまで影響を及ぼし、矯正治療が難しくなるケースもあるため、早めの対応が推奨されます。

異常嚥下癖を予防するには?

予防のポイントは、日常の習慣にあります。

– 離乳食から適切なステップで咀嚼を学ばせる
– 鼻呼吸を促す(アレルギー対策含む)
– 姿勢を正しく保つ
– 手づかみ食べを積極的に取り入れる
– よく噛む習慣を家庭でも意識する

これらの取り組みが、異常嚥下癖の予防に直結します。

まとめ:小さな癖が将来に与える大きな影響

異常嚥下癖は一見すると小さな問題に思えるかもしれませんが、放置すれば歯並びや発音、顔つきにまで影響する可能性があります。お子さまの健やかな成長のためにも、日常のちょっとしたサインに気づき、必要に応じて専門家に相談することが大切です。正しい嚥下は、生涯にわたる口腔健康の基礎を作る第一歩です。

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前歯が閉じない?――開咬(かいこう)の原因と治療法

「口を閉じても前歯が合わない」「食べ物を噛みにくい」「発音がしにくい」――こうした症状の背景にある可能性があるのが「開咬(かいこう)」です。見た目の問題にとどまらず、咀嚼・発音・呼吸・顎関節などさまざまな機能に影響を及ぼすことがあるため、早期の対応が求められる咬合異常のひとつです。
本コラムでは、開咬の基本的な理解から、原因、リスク、そして矯正歯科での治療法に至るまでをわかりやすく解説します。

第1章:開咬とは?

■ 定義

「開咬(open bite)」とは、上下の前歯が噛み合わず、前歯の間に隙間ができる咬合状態のことを指します。口を閉じた状態でも、前歯が接触せず、奥歯のみで咬んでいる状態が特徴です。

■ 分類

•前歯部開咬:もっとも一般的で、上下の前歯が開いている。
•側方開咬:左右の奥歯が接触せずに開いている。
•部分開咬:一部の歯のみが噛み合わない状態。

第2章:開咬の原因

■ 1. 習癖(くせ)

•指しゃぶりや**舌突出癖(舌で前歯を押すクセ)**が、長期間にわたって開咬を引き起こす主な要因です。
•口呼吸も開咬の形成に影響するとされ、慢性的な鼻づまりやアレルギーも関与します。

■ 2. 遺伝的要因

顎の骨格の大きさや形は遺伝するため、親子で同じような咬合異常が見られることもあります。**顎が垂直方向に長い骨格タイプ(過長顔型)**は開咬になりやすい傾向があります。

■ 3. 発育不全・歯の位置異常

•歯の位置や角度に異常がある場合、咬み合わせの異常を招くことがあります。
•乳歯の早期喪失や、永久歯の萌出障害が引き金になることも。

■ 4. その他の要因

•長期の哺乳瓶・おしゃぶりの使用
•頬杖などの習慣
•口腔周囲筋のバランス不全

第3章:開咬がもたらすリスク

■ 1. 咀嚼・咬合機能の低下

前歯が噛み合わないため、食べ物をうまく噛み切れない・噛み砕けないなどの機能障害が生じます。咀嚼不良は胃腸への負担増加にもつながります。

■ 2. 発音障害

「サ行」「タ行」など、舌先を前歯に当てて発音する音に支障をきたすことがあります。構音障害(発音が不明瞭になる症状)として、幼少期から現れることも。

■ 3. 顎関節症のリスク

奥歯にばかり負荷がかかることで、顎関節に負担が集中し、顎関節症の原因となることがあります。口が開けにくい、カクカク音がするなどの症状が現れる場合もあります。

■ 4. 見た目への影響

開咬は、口が開き気味になる、唇が閉じにくいといった審美的な問題も引き起こします。特に笑ったときの印象が大きく変わるため、本人のコンプレックスにつながることも。

第4章:開咬の治療法(矯正歯科のアプローチ)

■ 1. 観察と習癖除去(乳歯期〜混合歯列期)

小児期の開咬は、指しゃぶりや舌癖、口呼吸などの原因を取り除くことで自然に改善することもあります。矯正治療を始める前に、口腔筋機能療法(MFT)や生活習慣の見直しを行うのが第一段階です。

■ 2. 小児矯正(第一期治療)

永久歯が生えそろう前の段階(およそ6歳〜12歳)で、歯列と顎の成長をコントロールする矯正治療を行います。主な治療内容には以下のようなものがあります。

•舌癖の改善指導・MFT
•プレオルソなどの機能的矯正装置
•上下顎の成長バランスを促す装置(拡大床など)

開咬の原因が筋機能や骨格的なものである場合、早期の対応が予後を大きく左右します。

■ 3. 成人矯正(第二期治療)

永久歯が生えそろった後は、ブラケット矯正やマウスピース矯正を使って開咬を治療します。成人の開咬は骨格的要因が大きい場合もあり、治療の難易度が上がる傾向にあります。

•表側・裏側ブラケット装置
•インビザライン(マウスピース矯正)
•開咬専用のスプリント治療

※ 開咬は歯だけでなく**骨格の異常(上顎の後退、下顎の前突など)**が関与していることが多いため、重度の場合は外科矯正(顎骨の手術)を併用するケースもあります。

■ 4. リテーナーによる保定

治療後にはリテーナー(保定装置)による後戻り防止が重要です。特に開咬は再発しやすい不正咬合のひとつであるため、継続的な観察が不可欠です。

第5章:当院での開咬治療の特徴

当院では、開咬に対する専門的な診断と治療計画を行っております。

矯正歯科専門医(女医)による丁寧な診断と説明
•口腔習癖(指しゃぶり・舌癖など)の評価と改善指導
•必要に応じたMFT(口腔筋機能療法)の提案
•患者さまのライフスタイルに合わせた矯正方法の選択(目立たない装置・取り外し可能な装置など)

また、当院ではスマイルキッズプログラムを通じて、成長期の定期検診で歯列の発育や口腔筋機能のチェックを継続的に行っています。気になる「クセ」や「咬み合わせ」がある場合も早期発見・早期対応が可能です。

まとめ:開咬は治療できる。早期発見と正しい対処が鍵

開咬は「見た目」の問題にとどまらず、食べる・話す・呼吸するといった基本的な口腔機能に大きな影響を与える可能性がある不正咬合です。特に成長期のお子さまにとっては、習癖や生活習慣の見直しが早期改善のカギとなります。
お子さまの前歯が閉じない、舌がよく出る、食べにくそうにしている――そんなサインに気づいたら、お早めにご相談ください。当院では、歯並びの専門家がチームでサポートし、健やかな口腔環境の育成をお手伝いいたします。

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成長に影響する“クセ”?― 口腔習癖が歯並びに与える影響とその対策

お子さまの何気ない「クセ」、たとえば指しゃぶりや頬杖、舌を突き出すしぐさ――実はそれらは、成長発育中の口腔に悪影響を及ぼす可能性のある「口腔習癖(こうくうしゅうへき)」と呼ばれるものかもしれません。
口腔習癖は、日常生活に潜んでいて見逃されがちですが、放置すると歯並びの乱れや咬合異常、さらには発音や呼吸にも悪影響を及ぼすことがあります。本コラムでは、口腔習癖の種類や原因、放置した場合のリスク、そして歯科医院での対応や家庭での予防方法までをわかりやすく解説します。

第1章:口腔習癖とは?

■定義と概要

「口腔習癖」とは、口の周囲や舌、あごの筋肉に関連する無意識のくせのことを指します。幼児期から学童期にかけて見られることが多く、発育途上の歯や顎に慢性的な外力が加わることで、歯列や咬合、さらには顔貌の成長にも影響を与える可能性があります。

第2章:代表的な口腔習癖の種類

●指しゃぶり(吸指癖)

もっとも一般的な習癖で、乳幼児期の自己安定行動の一つ。3歳を過ぎても続く場合は要注意。上顎前突(出っ歯)や開咬の原因となる。

●舌突出癖

嚥下や会話時、舌が前に突き出る癖。上下の前歯の間から舌が出てしまう状態で、開咬や発音障害の原因になる。

●口唇癖(唇を咬む・巻き込む)

上下どちらかの唇を咬んだり、内側に巻き込む癖。上下の前歯の傾斜や、噛み合わせのズレにつながることがある。

●頬杖

顔の片側に手を当てて支える姿勢。側方からの持続的な力が加わるため、顎の歪みや非対称を招く。

●口呼吸

鼻呼吸ではなく、常時口が開いた状態で呼吸を行う習慣。口腔乾燥・虫歯・歯肉炎・咬合異常・アデノイド顔貌など、多くの問題を引き起こす。

●爪咬み・鉛筆咬み

緊張や不安を紛らわせる行動の一環として見られる。前歯への過剰な圧力がかかり、破折や傾斜、歯並びへの悪影響が起こる。

第3章:放置することによるリスク

●歯列・咬合への影響

口腔習癖は歯の位置・角度・顎の成長にまで影響を与え、以下のような不正咬合の原因になります:
•開咬(かいこう):上下の前歯が閉じない状態
•上顎前突(出っ歯)
•反対咬合(受け口)
•顎の左右非対称
•歯列のねじれや叢生(歯の重なり)

●顎関節や顔貌のゆがみ

持続的な外力が顎関節に影響し、顔面の左右非対称や顎関節症のリスクを高めます。

●呼吸・発音障害

舌の位置異常や口呼吸の習慣が、鼻づまり・アレルギー性疾患・滑舌の悪さを引き起こすことがあります。

第4章:家庭でできる気付きと対策

●よくあるサイン

•いつも口が開いている
•舌が前に出ている
•頬杖をよくつく
•前歯が閉じない(前歯が上下に離れている)
•唇や指に歯の跡がついている
•発音がはっきりしない

● 家庭でできる対応

•3歳以降も指しゃぶりがある場合は段階的にやめさせる努力を
•就寝時の手袋や絵本による行動変容を活用
•日中の姿勢指導(頬杖を避ける)
•正しい口唇閉鎖・鼻呼吸を意識させる
•食事中の咀嚼や飲み込み方を見直す(舌突出がある場合)

第5章:歯科医院での専門的アプローチ

●咬合診断・口腔筋機能評価

歯並びや咬み合わせ、口腔周囲筋の機能を総合的に診断し、習癖がもたらす影響を評価します。

●MFT(口腔筋機能療法)

舌・口唇・頬の筋肉のバランスを整える訓練療法で、異常嚥下や舌癖の改善に効果的です。継続的なトレーニングが必要となる場合もあります。

●矯正治療

口腔習癖が原因で生じた歯列不正については、小児矯正での早期対応が推奨されます。特に発育段階での骨格改善は、成人後よりも治療の選択肢が広がります。

第6章:当院での取り組み ― 習癖と成長を見守る体制

当院では、「スマイルキッズプログラム」を通じて、乳幼児期から学童期に至るまでのお子さまの歯と口の健康を継続的にサポートしています。
•定期検診時に歯並びや口腔筋機能のチェック
•保護者への習癖に関するフィードバック
•必要に応じた専門的指導・トレーニング提案
•食事・姿勢・呼吸指導を含む総合的なアプローチ
また、矯正専門医(女医)が常勤しており、歯並びの問題だけでなく口腔習癖への対応も専門的にご相談いただけます。お子さまの気になるクセがある、歯並びが心配、口がぽかんと開いているなど、お困りの際はお気軽にご相談ください。

まとめ:早期の気付きが将来の健康につながる

口腔習癖は、単なる「クセ」ではありません。成長発育期における歯や顎、さらには全身の健康にまで関わる重要な因子です。
「まだ小さいから」と見過ごさず、日常の中で違和感を感じたら、ぜひ一度歯科医院にご相談ください。正しい知識と適切な対応で、将来のお子さまの口腔環境を守ることができます。

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