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小児口腔機能発達不全症とは ― お口の発達と子どもの健やかな成長の関係

現代の子どもたちに増えているとされる「小児口腔機能発達不全症(しょうにこうくうきのうはったつふぜんしょう)」。これは、歯並びや噛み合わせの問題に限らず、「うまく噛めない」「飲み込みがうまくできない」「口がぽかんと開いている」「発音が不明瞭」など、食べる・話す・呼吸するといった日常の基本的な口腔機能の発達が十分でない状態を指します。
一見、些細なクセや性格のように見えるこれらの症状も、放っておくと全身の発育や社会生活に影響を及ぼす可能性があります。このコラムでは、小児口腔機能発達不全症の定義、症状、原因、診断、そして歯科医院を中心とした具体的な対応方法について詳しく解説します。

1. 小児口腔機能発達不全症とは?

小児口腔機能発達不全症は、2018年に日本歯科医学会によって保険病名として新設された比較的新しい概念です。口腔機能のうち「咀嚼(そしゃく)」「嚥下(えんげ)」「発音」「呼吸」など、複数の働きが年齢相応に発達していない、あるいは機能低下している状態が、複合的に認められることが診断の前提となります。

■ 主な症状(1つでも複数でも該当あり)

•食事中にこぼす、噛むのが遅い・噛まずに飲み込む
•飲み込みがぎこちない、よくむせる
•舌や唇の動きが鈍い
•発音がはっきりしない
•いつも口が開いている(口呼吸)
•指しゃぶり、舌癖(舌を前に出す)、唇を噛む癖が続いている
•歯並びや顎の発育の遅れがある
これらの症状は一見軽度に見えても、口腔機能の連携(運動・感覚・意識)の不調和を示していることが多く、発育とともに悪化するリスクもあるため、早期の気づきと対応が求められます。

2. 小児口腔機能が発達しない背景

■ 現代の子どもたちに増えている原因

小児口腔機能発達不全症が近年増加傾向にある背景には、以下のような社会的・環境的な要因があります。
① 食生活の変化
柔らかく加工された食事(ファストフード・レトルト・冷凍食品など)の摂取が増えたことで、咀嚼回数が減り、顎の発育が十分になされない子どもが増えています。
② 生活習慣の乱れ・運動不足
外遊びやスポーツの機会が減ったことにより、全身の筋肉と連動する顎・口腔周囲の筋肉の発達も未熟になりがちです。
③ スマホ・ゲームの長時間使用
下を向いた姿勢や口を閉じずに過ごす時間が長くなり、口呼吸や口腔機能の低下を引き起こすリスクがあります。
④ 母乳・離乳食の影響
母乳を早期にやめたり、離乳食のステップが十分でなかった場合、口唇・舌・頬の協調運動がうまく育たず、嚥下・咀嚼・構音の発達が遅れることがあります。

3. どのように診断するのか?

■ 歯科医院での評価方法

歯科医院では、以下のような観点から総合的に判断します。
1. 問診・保護者からのヒアリング
食事の様子、哺乳や離乳食の時期、言葉の発達状況、クセ(指しゃぶり・舌癖など)などを詳細に確認します。
2. 口腔内および顔面の観察
顎の大きさ、歯列の状態、舌・唇・頬の動き、表情筋の使い方などを観察します。
3. 専門的検査
•嚥下評価:飲み込みの様子をチェック(必要に応じて医科連携)
•発音・構音評価:舌の動き・発音明瞭度
•筋機能評価:口輪筋・舌筋・咬筋のバランスと発育状況

■ 診断基準の一例(複数該当で診断)

•食べ物をよくこぼす、時間がかかる
•飲み込むときにあごや口の動きが不自然
•舌を突き出す、指しゃぶりが残る
•発音が不明瞭で言い直されることが多い
•常に口を開けている
•鼻呼吸ができず、睡眠時にいびきがある

4. 歯科医院でできる対応と治療

■ 小児口腔機能発達不全症の基本方針

この疾患の治療は、主に「口腔機能の再教育」「筋機能訓練」「生活習慣の改善」などを組み合わせて行われます。歯列矯正や装置療法だけでなく、子どもの発育と習慣に合わせた“行動療法”が中心となります。

■ 主な対応内容

① MFT(口腔筋機能療法)
舌、唇、頬の筋肉を強化し、正しい動きを覚えさせる訓練です。専用の器具やエクササイズを通じて楽しく行えます。
② 食べ方・飲み込み方の指導
食事中の姿勢、噛む回数、飲み込む順序を確認・練習し、嚥下機能を自然に高めます。
③ 呼吸法の指導(鼻呼吸トレーニング)
口呼吸をしている子どもには、鼻呼吸を促す運動やトレーニングを通じて、呼吸様式の改善を図ります。
④ 悪習癖の除去(指しゃぶり・舌癖など)
行動療法や装置を用いて、悪習癖を無理なくやめられるように支援します。
⑤ 必要に応じて矯正治療や連携医療(耳鼻科・小児科など)
歯列不正や鼻閉など他科的要因がある場合には、専門医との連携を取りながら治療を進めます。

5. 年齢ごとの注意ポイントと対応

年齢 特徴 注意すべき点 対応例
1〜2歳 離乳完了期 哺乳・離乳の完了段階 飲み込みの確認、スプーンの使い方の指導
3〜5歳 咀嚼・発音の形成期 口呼吸、舌癖、発音不明瞭 MFT初期訓練、遊び感覚のトレーニング
6〜8歳 学童期前半 永久歯への交換開始 嚥下再学習、鼻呼吸への移行、早期矯正相談
9〜12歳 顎骨成長ピーク期 顎の発達不調、構音不良の定着 本格的筋機能療法、発音トレーニング

6. 保護者ができる家庭でのサポート

家庭でもできるサポートはたくさんあります。
•食事中はテレビやスマホを切り、姿勢よく食べる習慣づけ
•柔らかすぎない食材(野菜スティックや干し芋など)を取り入れる
•口をしっかり閉じる意識づけ(「おくちチャック」など)
•毎日5分の表情筋エクササイズ
•「あいうべ体操」などの口腔体操
•鼻呼吸を促す就寝時の対策(口テープなど)

7. よくある質問と答え

Q1. 子どものクセだけで“病気”なんですか?

A. 単なるクセと思われがちな口の動きや呼吸も、機能発達の遅れや障害のサインである場合があります。
放置することで発音障害や歯列不正、咀嚼・嚥下障害に進展することがあるため、早期の評価と対応が重要です。

Q2. 治療はどれくらい続ける必要がありますか?

A. 発育と習慣形成には時間がかかるため、3〜6か月、場合によっては1年以上かけて継続的に支援します。
保護者と歯科医療者の連携による二人三脚が成功の鍵です。

Q3. 矯正治療と何が違うのですか?

A. 矯正は“歯を動かす”治療、機能療法は“正しく動かせるようにする”治療です。
両方を併用することで、見た目と機能の両立が図れます。

8. まとめ ― 子どもの将来を守る「お口の教育」

小児口腔機能発達不全症は、見逃されがちですが決して珍しい疾患ではありません。現代の子どもたちにとって、「うまく噛める」「しっかり飲み込める」「はっきり話せる」ことは、健康的な身体・学習能力・社会性を育む土台です。
「ただのクセだろう」「大きくなれば治るだろう」と見過ごさず、お子さんの口元や話し方、食べ方に気になることがあれば、ぜひ歯科医院にご相談ください。私たちはお子さんの成長をお口の面からしっかりとサポートいたします。

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赤ちゃんから12歳までに気をつけたい歯の健康 ― 成長段階に応じたケアと注意点

子どもの歯の健康は、将来の口腔環境だけでなく、全身の健康や生活の質にも大きく影響します。乳歯が生え始める赤ちゃんの時期から、永久歯がそろい始める学童期まで、それぞれの段階に応じたケアや注意点を知っておくことがとても大切です。
このコラムでは、赤ちゃんから12歳くらいまでの子どもの歯の発達や、それぞれの時期に気をつけたいポイント、家庭でのケア方法について詳しく解説します。

【乳児期】生後6か月〜2歳ごろまで:乳歯のはじまり

■ 乳歯の萌出とケアのスタート
赤ちゃんの乳歯は、生後6か月ごろから下の前歯から順に生え始めます。2歳半〜3歳頃には、上下合わせて20本の乳歯がそろいます。この時期は歯が生え始めたばかりで、虫歯になりやすいイメージは少ないかもしれませんが、実は“予防のスタート地点”として非常に重要な時期です。
■ 注意すべきこと
•歯が生えたらすぐに歯磨き習慣を始めましょう。
最初はガーゼなどで拭き取るだけでもOKですが、徐々に乳児用歯ブラシに慣れさせましょう。
•哺乳瓶の使用には注意を。
長時間哺乳瓶でミルクやジュースを飲ませると、「哺乳瓶う蝕」と呼ばれる虫歯の原因になります。就寝中の飲み物は白湯や水がベストです。
•フッ素入り歯みがき剤は少量から。
年齢に応じて適切な量を使い、仕上げ磨きの後にうがいの練習も徐々に始めましょう。

【幼児期】3歳〜5歳ごろ:乳歯がそろい、虫歯リスクが高まる時期

■ 歯みがきの習慣づけと保護者のサポートが鍵
この時期はすべての乳歯が生えそろい、食事の内容も大人に近づいてきます。一方で、自分での歯みがきがまだ不十分なため、保護者の仕上げ磨きがとても重要になります。
■ 注意すべきこと
•仕上げ磨きは小学校入学前まで続けるのが理想。
歯ブラシが届きにくい奥歯や歯と歯の間は特に虫歯になりやすいため、大人の目と手でしっかりケアすることが必要です。
•定期的な歯科検診で虫歯予防を。
虫歯ができやすい時期のため、歯科医院での定期検診やフッ素塗布を受けることで、予防意識を高めることができます。
•間食の与え方にも工夫を。
甘いおやつやジュースをダラダラ摂取すると、虫歯のリスクが高まります。時間を決めて与えることがポイントです。

【学齢期前半】6歳〜8歳ごろ:乳歯と永久歯の“混合歯列期”

■ 生え替わりの時期、トラブルが起こりやすい
この時期は、乳歯が抜けて永久歯に生え替わり始める重要な時期です。特に「6歳臼歯」と呼ばれる奥歯は、乳歯の奥に新しく生えてくるため見落とされやすく、虫歯になりやすい歯のひとつです。
■ 注意すべきこと
•生えたばかりの永久歯は虫歯に弱い。
表面が未成熟で酸に弱く、歯ブラシも届きにくいため、フッ素塗布や歯科医院でのシーラント(奥歯の溝を埋める処置)などが有効です。
•歯並びのチェックも重要に。
乳歯の早期脱落や、指しゃぶり、口呼吸などが原因で歯並びや咬み合わせに悪影響を及ぼすことがあります。必要に応じて矯正歯科での相談も検討しましょう。
•自分で磨けるようサポートを。
6歳ごろからは自立心も育ちますが、まだ磨き残しも多いため、引き続き保護者のチェックや仕上げ磨きが大切です。

【学齢期後半】9歳〜12歳ごろ:永久歯列への移行と自立の時期

■ 歯並びやかみ合わせが完成に近づく
この時期には多くの永久歯が生えそろい、乳歯との交代がほぼ完了します。口腔内は大人に近づいていきますが、成長期ならではの歯列の変化や清掃不良が原因で、トラブルが起きることも少なくありません。
■ 注意すべきこと
•永久歯の虫歯や歯肉炎に注意。
特に奥歯は生えた直後に虫歯になりやすく、歯ぐきの炎症(小児性歯肉炎)も起こりやすいため、歯磨きの精度を高める必要があります。
•矯正のタイミングを見極める。
もし歯並びやかみ合わせに問題がある場合は、この時期に矯正治療を始めることで、歯を抜かずに対応できることもあります。
•生活習慣の見直しも重要。
間食の回数や食事の姿勢、噛む回数なども、歯や顎の発育に関係します。親子でバランスの良い生活習慣を心がけましょう。

年齢にかかわらず大切なこと

● フッ素で歯を強くする
歯科医院での定期的なフッ素塗布に加え、フッ素配合の歯みがき剤を日常的に使用することで、虫歯に強い歯を育てることができます。年齢に応じた濃度・使用量については歯科医に相談すると安心です。
● 歯医者を“こわくない場所”に
子どものうちから定期的に通院していれば、いざ虫歯になったときも恐怖感なく治療を受けることができます。定期検診は「歯を削る場所」ではなく、「歯を守る場所」として慣れさせることが大切です。
● スマイルキッズプログラムでの継続的なサポート
当院では、お子さまの成長に合わせた予防・管理を行うために、「スマイルキッズプログラム」を導入しています。定期検診のたびに、年齢や発育段階に応じて以下のようなサポートを行います:
•歯並びや顎の発達状況のチェック
•仕上げ磨きやセルフケア指導
•食生活や習癖に関するアドバイス
•歯科への慣れと継続的な通院習慣の育成
このように、単に虫歯を「見つける」だけでなく、**「育てる予防」**を意識した包括的なサポートを実施しており、将来的なトラブルの未然防止につなげています。詳しくは当院ホームページ(スマイルキッズプログラムの詳細はこちら)をご覧ください。
● 矯正の専門医(女医)による安心の相談体制
お子さまの歯並びや噛み合わせについて不安を感じた場合もご安心ください。当院には矯正治療を専門とする女性歯科医師が在籍しており、保護者の目線に寄り添った丁寧な診療を行っています。
歯並びのチェックだけでなく、「矯正はいつ始めたらいいの?」「抜歯は必要?」「費用はどのくらい?」といったよくあるお悩みにも、専門的な視点からやさしくご説明します。将来的な矯正治療を検討するうえでも、早期のご相談が重要です。ぜひお気軽にお尋ねください。

おわりに ― 歯の健康は“親子の二人三脚”で守る

子どもの歯の健康は、単に虫歯を防ぐだけでなく、咀嚼力・発音・顔の成長・全身の栄養状態などにも深く関係します。そのため、毎日の歯みがきや食生活の管理、定期的な歯科受診は、将来の健康への大きな投資といえるでしょう。
子ども一人ではまだ十分なケアができないからこそ、保護者の関わりと見守りが何より大切です。そして、歯科医院もそのパートナーとして、子どもの成長段階に応じたアドバイスとサポートを行っています。
乳歯の1本目が生えたときから、永久歯がそろう12歳ごろまで。それぞれのタイミングで、適切なケアと習慣づけをしていくことが、健やかな未来の笑顔につながっていくのです。

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「歯根破折」で抜歯は避けたい!歯の寿命を延ばす「ファイバーコア」という選択

歯の寿命を左右する「歯根破折」と「ファイバーコア」の重要性

歯は人体で最も硬い組織の一つですが、残念ながら永久に持つものではありません。特に、神経を抜いた(根管治療を行った)歯は、もろくなりやすく、さまざまなリスクを抱えることになります。その中でも、歯の寿命を大きく左右する深刻な問題が「歯根破折(しこんはせつ)」です。

歯根破折とは?なぜ神経を抜いた歯に起こりやすいのか

歯根破折とは、歯の根っこの部分にヒビが入ったり、完全に割れてしまったりする状態を指します。歯根破折が起こると、歯周組織との間に隙間が生じ、そこから細菌が侵入して炎症を引き起こします。自覚症状としては、噛むと痛い、歯茎が腫れる、膿が出る、歯がグラグラするといったものがありますが、初期の段階では自覚症状がないことも少なくありません。

神経を抜いた歯が歯根破折を起こしやすい理由はいくつかあります。まず、神経と共に血管も失われるため、歯への栄養供給が途絶え、歯自体が乾燥してもろくなります。例えるなら、生木が乾燥して枯れ木になるようなイメージです。また、根管治療の過程で歯の内部が削られることで、歯の構造が弱くなることも一因です。さらに、歯に大きな力が加わった際、例えば食いしばりや歯ぎしり、硬いものを噛んだ時、あるいは被せ物(クラウン)の土台に金属の芯(メタルコア)を使用した場合などに、その力が歯の根に集中し、破折を引き起こすことがあります。

一度歯根破折が起こってしまうと、多くのケースでその歯を保存することが困難になります。なぜなら、割れた部分を完全に接着して封鎖することが極めて難しく、そこから感染が繰り返し起こるためです。そのため、残念ながら抜歯を余儀なくされる場合がほとんどです。

歯根破折のリスクを低減する「ファイバーコア」

このように、歯の寿命を脅かす歯根破折を防ぐために、現代の歯科医療では様々な工夫が凝らされています。その一つが、根管治療後の被せ物の土台として使用する「ファイバーコア」です。

従来、神経を抜いた歯の土台には、金属製のメタルコアが使用されることが一般的でした。メタルコアは強度が高く、被せ物をしっかりと支えるという利点がありました。しかし、金属は非常に硬いため、歯に強い力が加わった際に、歯よりも硬いメタルコアが「くさび」のように作用し、歯根に無理な力を集中させてしまうことが、歯根破折の一因となることが指摘されてきました。

一方、ファイバーコアは、ガラス繊維強化樹脂を主成分とした土台です。その最大の特長は、天然の歯に近いしなやかさ(弾性)を持っている点にあります。このしなやかさにより、噛む力が歯全体に均等に分散されやすくなり、歯根に集中する応力を緩和することができます。その結果、歯根破折のリスクを大幅に低減することが期待できます。

また、ファイバーコアは金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がなく、歯茎が黒ずむ「ブラックマージン」といった審美的な問題も防ぐことができます。さらに、光透過性があるため、オールセラミックなどの透明感のある被せ物と組み合わせることで、より自然で美しい仕上がりを実現することも可能です。

歯の未来を守る選択

歯根破折は、一度起こってしまうと取り返しのつかない事態になることがほとんどです。
ご自身の歯をできるだけ長く健康に保つためにも、根管治療後の土台の選択は非常に重要です。ご不明な点やご不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、皆様の大切な歯の未来を共に守るお手伝いをいたします。

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美しさと機能性を両立するセラミック治療 ― メリットと注意点を正しく理解しよう

虫歯治療や審美目的の補綴治療において、近年特に注目されているのが「セラミック治療」です。自然な美しさに加え、金属を使わないことで身体への負担も少なく、長期的に安定した口腔環境が期待できる点が大きな魅力です。
一方で、セラミック治療には保険が適用されないケースが多く、費用面や破損リスクなど、事前に理解しておくべき注意点も存在します。
このコラムでは、セラミック治療がなぜ選ばれているのか、その優れた点とともに、知っておくべきデメリットについてもわかりやすく解説いたします。

セラミック治療とは?

セラミック治療とは、虫歯や欠損歯などの補綴治療において、歯の一部または全体を「セラミック(陶材)」素材で修復する治療法です。主に以下のような補綴物に使用されます。
•インレー(詰め物)
•クラウン(被せ物)
•ラミネートベニア(前歯表面に貼り付けるシェル状の補綴物)
•ブリッジやインプラント上部構造など
セラミックはガラスに似た素材でありながら、耐久性や審美性に優れ、近年では「ジルコニア」や「e.max」といった、さらに高強度なセラミック素材も登場しています。

セラミック治療の優れている点

1. 審美性に優れる ― 自然な白さと透明感
セラミックの最大の特長は、天然歯のような美しい見た目を再現できる点です。色調の調整が細かく可能で、隣接する歯の色や質感に合わせた製作ができます。特に前歯など、見た目が重視される部位では、保険の金属やプラスチック素材と比べて格段に自然な仕上がりになります。
また、セラミックは経年変化による変色がほとんどなく、長期間美しい状態を保てる点も大きな魅力です。
2. 金属アレルギーの心配がない ― メタルフリー素材
保険診療で使用される金属(銀歯など)は、体質によっては金属アレルギーの原因となることがあります。セラミックは金属を一切含まないため、アレルギーの心配がなく、身体にやさしい素材として注目されています。
また、金属を使わないことで、歯ぐきとの境目が黒ずんで見えるような「メタルライン」も生じません。審美的にも清潔感のある仕上がりになります。
3. すぐれた耐久性と生体親和性
高強度なセラミック素材(ジルコニアなど)は、しっかり噛む奥歯にも使用できるほどの耐久性を備えています。また、表面が非常になめらかで汚れが付きにくいため、プラークの蓄積を抑えやすく、虫歯や歯周病の再発防止にもつながります。
さらに、歯ぐきとの適合性が良く、炎症が起こりにくいため、長期的に健康な歯周環境を維持しやすいのも特徴です。
4. 精密な製作が可能 ― 技工士との連携によるオーダーメイド
セラミック治療では、歯科技工士が患者さんの歯型や色調、咬合の状態に合わせて一つひとつ丁寧に補綴物を作製します。最新のCAD/CAM技術や手作業による微調整によって、高い精度とフィット感を実現できます。
こうした細かな仕上げが、装着後の違和感の少なさや、咬み合わせの安定性にもつながっています。
伊皿子おおね歯科医院では、特に色合わせ等の際にはトップクラスの歯科技工士さんに立ち会ってもらっています。
>>トップクラスの歯科技工士による補綴治療
>>歯科治療を支える“もうひとりの専門家” ― 歯科技工士の重要性について

セラミック治療のデメリット・注意点

1. 保険適用外 ― 自費診療になることが多い
セラミック治療は、基本的に**自費診療(保険適用外)**となるため、金属製の保険治療に比べて費用が高額になります。治療費は医院や使用する素材によって異なりますが、インレーで数万円、クラウンで10万円前後かかる場合もあります。
そのため、セラミック治療を検討する際は、見た目や機能性とのバランス、将来的な治療の回数や期間なども踏まえて総合的に判断することが大切です。
2. 強い衝撃で破折することがある
セラミックは金属のようにしなやかな性質ではなく、一定の衝撃には弱いという性質があります。特に歯ぎしりや強い噛みしめの癖がある方は、セラミックの破折リスクが高まります。そのような方には、ナイトガード(マウスピース)の装着を推奨することがあります。
また、治療前に噛み合わせのバランスをしっかり調整することが、トラブル防止の鍵となります。
3. 技術によって仕上がりに差が出ることがある
セラミック治療は、歯科医師の形成技術と、歯科技工士の製作技術の両方が求められる治療です。丁寧な型取り・咬合の記録・色調指示がなければ、どれだけ素材が良くても理想的な補綴物は完成しません。
そのため、経験豊富な歯科医院・技工所と連携しているかどうかが、結果の良し悪しを大きく左右します。治療前にどのような素材・手順で治療が進むのか、丁寧な説明があるかを確認すると安心です。

セラミック治療は「選べる時代」に

一昔前までは、「銀歯=当たり前」という認識が一般的でした。しかし、現在では審美性・健康面を重視して、セラミック治療を希望する方が年々増加しています。さらに、CAD/CAM技術の進歩によって、費用を抑えたセラミック製の保険診療(※条件付き)も一部で導入され始めています。
とはいえ、素材や部位によっては従来の保険適用外となるケースが多いため、自費診療のセラミック治療が依然として主流です。治療を検討する際は、「見た目」「機能」「健康」「費用」など、何を優先するかを明確にし、歯科医師と相談しながら最適な選択を行うことが大切です。

おわりに ― 10年先を見据えた治療を

セラミック治療は、「ただ見た目を良くする」だけでなく、再発のリスクを減らし、口腔内を健康に保ちやすい環境をつくるための選択肢です。もちろん保険診療にも良さはありますが、「より良いものを長く使いたい」という方にとっては、セラミック治療が大きなメリットをもたらしてくれます。
重要なのは、素材だけでなく「誰が・どのように治療を行うか」。納得のいく説明を受けたうえで、ご自身のライフスタイルや価値観に合った治療法を選びましょう。
セラミック治療についてご不明な点やご相談があれば、ぜひお気軽に当院までお声がけください。あなたの笑顔と健康を長く支える、最適な治療をご提案いたします。

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歯科のガムピーリングとは?

ガムピーリングとは、歯ぐき(歯肉)の黒ずみを取り除き、健康的なピンク色に改善する治療です。メラニン色素の沈着により、歯ぐきが黒ずんで見えることがありますが、これは遺伝や喫煙、加齢などが原因で起こります。ガムピーリングでは、レーザーや薬剤を用いて表面の色素を除去し、歯ぐき本来の自然な色を取り戻すことができます。治療は比較的短時間で済み、痛みや腫れも少ないのが特徴です。見た目の印象が大きく変わるため、笑ったときに歯ぐきが見える方や、口元の美しさにこだわりたい方に人気のある審美的な処置です。歯のホワイトニングと併用することで、より明るく健康的な印象を与えることができます。気になる方は一度、歯科医院で相談してみてください。

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気になる「口臭」の正体とその対策 ― 原因・予防法・歯科医院での治療について

人と話していて、「自分の口臭、大丈夫かな」とふと心配になった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。口臭は自分では気づきにくく、他人に指摘されにくい分、とてもデリケートな問題です。しかし、原因や対策を正しく知ることで、予防や改善は十分に可能です。このコラムでは、口臭の主な原因と日常でできる予防法、そして歯科医院で行われる具体的な治療について詳しくご紹介します。

口臭の主な原因とは?

口臭には大きく分けて「生理的口臭」と「病的口臭」の2種類があります。
1. 生理的口臭
これは誰にでもある自然な口臭です。例えば、起床直後や空腹時、緊張して唾液の分泌が減ったときに一時的に強くなります。これは口腔内の乾燥により、嫌気性菌が増殖しやすくなるためです。生理的口臭は、飲食や歯磨き、会話などで唾液が分泌されると自然に改善されることが多く、特に心配はいりません。
2. 病的口臭
こちらは、何らかの病気や異常が原因で発生する口臭です。原因として多いのが「口腔内の疾患」です。特に以下のようなものが挙げられます。
•歯周病:歯周病菌が歯周ポケットで繁殖することで硫化水素などの臭気ガスを発生させます。
•虫歯:進行した虫歯では、歯が腐敗し臭いの原因になります。
•舌苔(ぜったい):舌の表面に溜まった汚れ(食べかすや細菌)が原因で臭いが発生することがあります。
•合わない入れ歯や被せ物:清掃不良や細菌の繁殖によって悪臭を伴うことがあります。
•胃が悪い方:胃や腸の調子が悪い場合は食物の消化に時間がかかるため、多くの悪臭成分が発生して強い口臭になってしまいます。
•蓄膿症:副鼻腔に膿がたまり、それが原因で口臭になることがあります。
また、口腔内以外の要因としては、呼吸器や消化器の病気(副鼻腔炎、胃炎など)、糖尿病や肝疾患などの全身的な病気が原因となる場合もあります。

自宅でできる予防法

口臭予防の基本は、口の中を常に清潔に保つことです。以下のポイントを意識することで、日常的に口臭を予防することができます。
1. 正しい歯磨き習慣
1日2〜3回、特に就寝前の丁寧なブラッシングが効果的です。歯と歯の間や歯と歯ぐきの境目など、汚れがたまりやすい部分をしっかり磨くことが大切です。
2. デンタルフロス・歯間ブラシの使用
歯ブラシだけでは落としきれない歯間のプラーク(歯垢)を除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシの併用がおすすめです。
3. 舌の清掃
舌の表面には食べかすや細菌がたまりやすく、臭いの原因となることがあります。専用の舌ブラシややわらかい歯ブラシで、優しく舌苔を取り除きましょう。
4. 唾液の分泌を促す
唾液には、口臭の原因菌を洗い流す働きがあります。ガムを噛んだり、水分をこまめに摂取したりすることで唾液の分泌を促しましょう。
5. 食生活の見直し
ニンニクやネギなどの強いにおいを伴う食べ物の摂取は、一時的に口臭を強くすることがあります。また、糖分が多い食事は虫歯や歯周病の原因にもなりやすいため、バランスの取れた食生活を心がけることも大切です。

歯科医院で行われる口臭治療

日常的なケアを行っても口臭が気になる場合は、歯科医院での診断と治療を受けることをおすすめします。以下のような診療を通じて、根本的な原因を突き止め、適切な対処が可能になります。
1. 歯周病・虫歯の治療
歯周病や虫歯が口臭の原因である場合は、それらの治療を優先的に行います。歯石除去や根管治療、被せ物の修復・再作製などが含まれます。
2. プロフェッショナルクリーニング(PMTC)
専用の器具と薬剤を用いて、普段のブラッシングでは取り切れない歯垢や歯石を徹底的に除去します。定期的なPMTCは、口腔内の清潔を保ち、口臭予防にも大きな効果があります。
3. 舌クリーニングの指導
舌苔が原因の場合は、適切な舌の清掃方法を指導してくれることもあります。過度な舌磨きは粘膜を傷つける恐れがあるため、自己流ではなく専門家のアドバイスを受けることが安心です。
4. 生活習慣やセルフケアの見直し
患者様の生活習慣やセルフケアの方法を詳しく聞き取り、改善点を提案するカウンセリングを行う歯科医院も増えています。例えば、ドライマウス対策として保湿ジェルの使用を勧めたり、就寝前のケアの方法を再確認したりします。

おわりに ― 口臭は予防と治療で改善できる

口臭は非常に身近な悩みでありながら、原因や対策がわからずに放置されがちです。しかし、多くの場合、口腔内の清掃状態や疾患に起因しており、正しいセルフケアと歯科医院での適切な治療によって改善が可能です。
気になる場合は、一人で悩まず、まずは歯科医院で相談してみることが第一歩です。口の中を清潔に保つことで、見た目だけでなく、健康や対人関係の自信にもつながります。清潔で快適な口腔環境を維持し、笑顔で過ごせる毎日を目指しましょう。

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食事と歯磨きの正しい関係とは?

私たちが食事をすると、口の中は一時的に酸性に傾きます。この酸性の状態は、歯の表面(エナメル質)を溶かす原因となり、むし歯のリスクを高めます。特に、糖分を含む食べ物や飲み物を頻繁にとると、歯の再石灰化が追いつかず、むし歯が進行しやすくなります。

そこで大切なのが、食後の歯磨きです。ただし、食後すぐの歯磨きは避け、30分ほど時間を置いてから行うのが理想的です。これは、酸性になった直後の歯は柔らかくなっており、すぐに磨くと傷つけてしまう恐れがあるためです。

また、1日3回の歯磨きだけでなく、就寝前は特に丁寧に磨くことをおすすめします。夜間は唾液の分泌が減少し、細菌が繁殖しやすい状態になるからです。

食生活と歯磨きのバランスを意識することで、むし歯や歯周病を防ぐことができます。毎日のちょっとした習慣が、大切な歯を守る鍵となります。

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歯科治療を支える“もうひとりの専門家” ― 歯科技工士の重要性について

歯科医院で治療を受けた際、患者さんが目にするのは歯科医師や歯科衛生士など、診療に直接かかわるスタッフがほとんどです。しかし、その治療の質を陰で大きく左右している“もうひとりの専門家”がいます。それが「歯科技工士」です。歯科技工士は患者さんと直接対面することは少ないものの、詰め物や被せ物、入れ歯、インプラントの上部構造など、口腔内に装着される“人工の歯”をつくり出すプロフェッショナルです。
本コラムでは、歯科技工士の役割や重要性について、一般の方にもわかりやすくご紹介します。

歯科技工士とはどんな職業か?

歯科技工士とは、歯科医師の指示のもと、義歯(入れ歯)や補綴物(詰め物・被せ物)、矯正装置などの製作を専門に行う国家資格保有者です。歯科技工士になるには、厚生労働省認定の専門学校や大学で所定の課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。
一見、モノづくりの職人のようにも思えますが、単なる「形をつくる」作業ではなく、医療の一部として患者さんの健康や生活の質(QOL)に直結する、非常に重要な役割を担っています。

歯科技工士の主な仕事

歯科技工士が製作するものには、以下のようなものがあります。
● クラウン(被せ物)・インレー(詰め物)
虫歯などで歯が欠損した部分を補うための人工物です。見た目やかみ合わせ、耐久性などを考慮し、素材もセラミック、ジルコニア、金属など様々あります。
● 義歯(入れ歯)
歯を失った場合に使用される部分入れ歯や総入れ歯も、歯科技工士が一つひとつ手作業で作ります。
● インプラントの上部構造
人工歯根(インプラント体)に装着する“歯”の部分。咬み合わせや周囲の歯との調和を考え、非常に高い精度と審美性が求められます。
● 矯正装置
歯並びやかみ合わせを整えるための装置も、患者さん一人ひとりの口腔内に合わせてカスタマイズされます。
これらの技工物はすべてオーダーメイドで、ミリ単位の精密な作業が求められます。

歯科技工士が重要とされる理由

1. 治療結果の質を左右する
どれほど歯科医師が丁寧に治療しても、最終的に口腔内に装着される技工物の出来が悪ければ、治療の効果は十分に発揮されません。審美性や機能性に優れた補綴物を提供するためには、歯科技工士の技術と経験が不可欠です。
2. 審美性と機能性の両立
前歯など見た目が重視される部位では、歯の色、形、透明感を自然に再現することが求められます。一方で奥歯では、咀嚼機能を重視した形態が必要です。こうした複雑な要求に応えるのが、歯科技工士の技術力です。
3. 患者ごとに異なるニーズへの対応
歯の大きさ、口の動き、咬合のクセなどは人それぞれ異なります。歯科技工士は、歯型や咬み合わせのデータをもとに、患者ごとに最適な形や構造を設計・製作します。

院内に歯科技工士がいなくても、質の高い補綴治療は可能です

当院には常勤の歯科技工士はおりませんが、長年連携している信頼性の高い外部歯科技工所と密に協力し、精度の高い補綴物をご提供しています。
技工所との連携においては、単に技工物の製作を依頼するだけでなく、写真や模型、咬合データの共有、治療設計に関する詳細なコミュニケーションを行っています。また、色合わせが必要な場合には、患者様に直接技工所に出向いていただき、技工士が立ち会って確認を行うことも可能です。
このような綿密な連携により、院内に技工士が常駐していなくても、高水準の補綴治療を提供する体制を整えております。

歯を「家」に例えると…

歯科医師と歯科技工士の関係をわかりやすく例えると、次のように表現されます。
• 歯科医師は「土台」を整える建築士・施工者
• 歯科技工士は「上物(家)」を美しく仕上げる職人
たとえば、虫歯や根の病気で大きく歯を削った場合、歯科医師が基礎工事を行い、土台を整えます。そして、その上に被せ物という“家”を建てるのが歯科技工士の役割です。どちらが欠けても、快適な“住まい”=お口の健康は実現しません。

おわりに ― 見えないところにこそ技術が宿る

普段、患者様の目に触れることのない歯科技工士ですが、私たちが口の中で毎日使う「人工の歯」は、すべて彼らの手によってつくられています。審美性・機能性・快適性を兼ね備えた補綴物の完成には、歯科医師と歯科技工士の信頼と連携が不可欠です。
当院では、確かな技術を持つ歯科技工所と協力し、患者様一人ひとりに適した、質の高い補綴治療を心がけております。治療後も自然な見た目と噛み心地が長く続くよう、見えない部分にもこだわった治療を提供しています。気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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ゴールデンウィークの診療に関しまして

2025年5月3日(土)~5月6日(火)まで休診です。5月7日(水)より通常通り診療します。ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

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妊娠と歯の関係 ~早産リスクを防ぐために~

妊娠中はホルモンバランスの変化や食生活の影響により、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。特に歯周病は、炎症物質が血流に乗って全身に影響を及ぼし、早産や低体重児出産のリスクを高める可能性があるといわれています。
そのため、妊娠中の歯科検診は非常に重要です。初期のうちに口腔内の状態を確認し、必要なケアを受けておくことで、母体と胎児の健康を守ることにつながります。
安定期(妊娠5〜7か月頃)は治療やクリーニングを受けやすい時期ですので、特におすすめです。
また、つわりや食事回数の変化により、口腔内が不衛生になりやすくなるため、毎日の歯磨きと定期的なチェックが大切です。
妊娠期こそ、口腔ケアを意識的に行いましょう。

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